創元こころ文庫<br> 増補 思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 (増補)

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創元こころ文庫
増補 思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 (増補)

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  • サイズ A6判/ページ数 316p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784422000633
  • NDC分類 146.8
  • Cコード C0111

出版社内容情報

村上春樹の作品群と心理療法の事例を重ね合わせながら、揺れ動く「思春期」の実像を鮮やかに描きだす。解説=三浦しをん氏。日常の目に見える現実とは異なる次元の現実を描く村上春樹の作品群と、こころに深い苦しみを抱えつつも自らの物語を生きていこうとするクライエントへの心理療法の事例を重ね合わせながら、激しく揺れ動く「思春期」の実像を鮮やかに描き出し、人が生きるということそのものの意味を問いかける。心理療法家がこころの本質に迫った定評あるロングセラーに、近年の村上作品を論じた論考を新たに加えた増補版。解説=三浦しをん氏。

目次

はじめに

第一章 物語の力
物語の呪縛
  筋書きの見えやすい物語/「通訳」の限界/物語の呪縛/異界につながる物語
新たな物語のプロローグ
  井戸の体験/因果律の呪縛/表現が生まれるまで/「お好みの物語」

第二章 思春期という異界
異界の視点
  援助交際の発覚/「たましい」の傷/思春期と異界/村上作品と思春期/出発点/思春期と向き合う/慢性化した傷/思春期を「買う」ということ
思春期同窓会
  「インチキ」な自分/思春期の記憶/浅薄な物語の魔力/事実と真実の乖離/思春期体験の破壊力/思春期の幻想

第三章 思春期体験と死
死の側面とつながる
  笠原メイの場合/異界モードの危険/死の側面のかたち/「死」を引き受ける/井戸に降り、ふたを閉める/「マトモな世界」への鍵
生の中にある死
  生と死の境界/変容のプロセス/変容を守る器/成長にともなう痛み/幸せのなかにある痛み/生の中の死

第四章 現実の多層性
「見える身体」と「見えない身体」
  「壁抜け」をする身体/半音違う新たな現実/「あちら側」への螺旋階段/「見えない身体」の穢れ/超越への回路としての「耳」
羊男の世界
  「いるかホテル」という次元/動き出すイメージ、開かれる次元/「見えない身体」としての「羊男」/「羊男」が現れるとき/「羊男」としての治療者/「空き家」になるということ/天と地をつなぐために
「入り口の石」
  「入り口」を開く結合、暴力、血/「入り口」を出入りすることの光と闇/善悪の峻別を超えた力/生の歪みを正す/理解し、ゆるすということ/「海辺のカフカ」を聴く
イメージの力
  心をなくしたイメージ/地上に降り立つプロセス/二つの世界の交差体験/通路としての思春期のからだ
「向こう側」から来る性と暴力
  「向こう側」と「こちら側」を結ぶ通路/引き裂かれた「見えない身体」/「向こう側」とのかかわり方/混沌を呑み込む/鏡と思春期
一夜の出来事?『アフターダーク』から
  「傷」を見る/「あちら側」と「こちら側」/「本当の物語」の生成

第五章 本当の物語を生きる
物語の共有
  核心を聴く覚悟/温かい血を流す/温かい血の力/「向こう側」とつながる言葉
全体性を取り戻す
  物語と猫/猫の行方/治療場面での猫のイメージ/ジョニー・ウォーカーの猫殺し
物語の行方
  日常のざわつき/日常を丁寧に「踊り続ける」こと/物語生成の瞬間/日常への着地/日常という物語を生きる

補論
十歳を生きるということ――封印された十歳の印としてのふかえり
思春期への巡礼がもたらすもの
十四歳という人生の独立器官

あとがき
新潮文庫版あとがき
創元こころ文庫版あとがき
参考文献一覧
解説 物語の効用  三浦しをん

岩宮 恵子[イワミヤ ケイコ]
岩宮恵子(いわみや・けいこ)
一九六〇年生まれ。聖心女子大学文学部卒業。臨床心理士。鳥取大学医学部精神科での臨床を経て、臨床心理相談室を個人開業。現在、島根大学教授。専攻は臨床心理学。主な著書に『生きにくい子どもたち』(岩波現代文庫)、『フツーの子の思春期』(岩波書店)、『好きなのにはワケがある』(ちくまプリマー新書)などがある。

内容説明

日常の目に見える現実とは異なる次元の現実を描く村上春樹の作品群と、こころに深い苦しみを抱えつつも自らの物語を生きていこうとするクライエントへの心理療法の事例を重ね合わせながら、激しく揺れ動く「思春期」の実像を鮮やかに描き出し、人が生きるということそのものの意味を問いかける。心理療法家がこころの本質に迫った定評あるロングセラーに、近年の村上作品を取り上げた論考を新たに加えた増補版。

目次

第1章 物語の力
第2章 思春期という異界
第3章 思春期体験と死
第4章 現実の多層性
第5章 本当の物語を生きる
補論

著者等紹介

岩宮恵子[イワミヤケイコ]
1960年生まれ。聖心女子大学文学部卒業。臨床心理士。鳥取大学医学部精神科での臨床を経て、臨床心理相談室を個人開業。現在、島根大学教授。専攻は臨床心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Yuko

8
村上作品を読み解きながら思春期について考える。子どもたちをめぐる状況を想いながら読んでいたら辛くなった。子どもたちのことばかりでなく、これは自分自身の苦しさかも。私自身が思春期に自分と深く向き合うことから逃げてきたのだろうか?そして相変わらず今も逃げてる!?ハルキ作品をこんな風に深く読めるようになったのは年と経験を重ねたからだろうが、多層的な現実の中に自分の本当の物語を生きられるようになるのだろうか。 2020/02/06

かがみ

4
村上氏にとっての創作とは多くの場合、自らのうちにあるメッセージを探し出す自己治療的行為であるという。そして、本書はこうした氏の創作姿勢には心理療法の過程と相通じるものがあるという。すなわちそれは〈物語〉を見出し〈物語〉を生きていくということである。それは「あちら側」の非日常と「こちら側」の日常の中に自分を位置づけていく過程に他ならない。システムに抗い、個としての日常を生きる上で必要なのはまさに〈物語〉である。文学的想像力と臨床的想像力を架橋する本書は極めて実践的な村上春樹論である。2020/08/05

ネギっ子gen

4
【合点】74頁。「社会的な地位のある男性が、思春期との関係が公になったことで職を失ったり」する。「分別も地位も、妻子もあるだろうに、なぜ、そんな人生を棒に振るようなことを!」と世間は疑念を呈す。その回答。「援助交際というような形で、思春期を買うようなことをしていると、日常の理が一切通用しない恐ろしい異界のエネルギーにのみ込まれて現実適応を徹底的に崩されてしまう危険もあるのだ」と。人生に手詰まりになると、打開の策として日常性を超えた体験を求める。しかし、それを援助交際に求めると落とし穴に落ちるということか。2020/01/28

にくどうふ

2
心理臨床について学んでいる過程で耳にしたタイトルが気になったので読んでみた。 村上春樹作品に惹かれる人にとっては、何故惹かれるのかをより深く理解するのにつながる本なのだと思う。逆に、昔、村上春樹を何冊か読んではみたがイマイチ響かなかった私にとっては、その理由がわかったような気がした。その時の私には必要なかったということなのかもしれない。 じっくりと事例を交えつつ話が進むので、心理臨床が何をするものなのか、理解を進める上で役に立つ良書ではあったと思う。2019/09/07

ぐり

2
大人になってしまったわたしたちは、どうしてもこちら側にいないといけないから、あちら側を時々求めたくなって村上春樹を読むのかもしれない。思春期のときは、作品があちら側のガイドになってくれるところがあるのかな。何かの節目にわたしも井戸に降りたくなってねじまき鳥を読み返す。2017/03/27

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