創元こころ文庫<br> 摂食障害の不安に向き合う―対人関係療法によるアプローチ

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創元こころ文庫
摂食障害の不安に向き合う―対人関係療法によるアプローチ

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  • サイズ A6判/ページ数 229p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784422000572
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C1111

出版社内容情報

治療者の仕事の目的は「安心の提供」。患者の「不安」に注目しつつ摂食障害の治療の実際を述べる、患者へのやさしさにあふれた本。

拒食症をPTSDのような障害としてみる治療者は少ないが、著者の実感では、拒食症はPTSDとほぼ同様の発症プロセスをもち、強迫性障害やPTSDのように不安障害とみたほうが現実の治療に即しているという。「安心することによって摂食障害は治っていく」という強い信念のもと、治療者の仕事の目的は「安心の提供」であると位置づけて、本書では、患者のもつ「不安」に注目しつつ摂食障害の治療の実際を述べてゆく。患者に対する視線が限りなくやさしい本である。

はじめに

第1章 摂食障害に対人関係療法的アプローチを適用する根拠
 対人関係療法と認知行動療法─過食症に対する効果
 それでも対人関係療法を用いる理由
 医学モデル
 摂食障害における問題領域の選択─維持因子への注目

第2章 摂食障害患者における不安を考える―「役割の変化」という視点
 役割の変化
 拒食症の発症プロセスにおける「役割の変化」
 拒食症発症後の「役割の変化」
 拒食症治療における「役割の変化」
 「拒食」と「過食」
 「過食」における「不安」
 「過食」の症状発症後の不安

第3章 不安を扱う基本姿勢
 感じるしかない不安と解決できる不安を区別する
 不安そのものに焦点を当てない
 心理教育で安心を提供する
 フォーミュレーションで安心を提供する
 「過食」についての心理教育
 人格と病気の混同を解消する
 ぶれない治療で安心を提供する
 治療の中での変化を位置づける

第4章 症状を位置づける―患者の症状に干渉しないことの意味
 治療に専念できる環境作り
 症状を患者の代弁者とみなす
 病気につながったパターンに気づく
 家族のプロセスの尊重と患者への安心提供
 過食という症状に干渉しないということ
 「症状は神聖にして侵すべからず」
 食と関係のない強迫症状の扱い

第5章 治療者の不安に向き合う
 「脅迫的治療」の裏にある治療者の不安
 対人関係療法治療者の基本的姿勢と摂食障害
 危機的状況の中で病気と人格を区別するということ
 治療者が抱えるリスクについての不安

第6章 家族の不安に向き合う
 家族の「役割の変化」を認識する
 家族に期待すべき役割
 家族が精神科的障害や発達障害を持っているとき
 家族のプロセスも尊重する
 問題行動に伴う不安を扱う

第7章 不安をコントロールして現状を受け入れる│「位置づけ」という考え方
 インテイク面接
 対人関係質問項目
 仮のフォーミュレーションの提供
 第1回面接
 フォーミュレーション
 中期
 父親を位置づける
 不安の高まりはミクロな「役割の変化」
 「コミュニケーション分析」と「感情の励まし」
 不安のコントロールには結果よりもプロセスが重要
 社会活動を位置づける
 他人のネガティブな反応を位置づける

第8章 不安をコントロールして前進する―「土俵」に乗せるという考え方
 ものごとを「自分の土俵」に乗せるということ
 親密さへの不安
 自己開示も自分の土俵に乗せる
 摂食障害からの回復も自分の土俵に乗せる

第9章 病気と治療を「位置づける」
 病気の意味を理解する
 治らない摂食障害について

文献
あとがき

【著者紹介】
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』(岩崎学術出版社)を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)。主な著書に『自分でできる対人関係療法』(創元社)、『「怒り」がスーッと消える本』『身近な人の「攻撃」がスーッとなくなる本』『自己肯定感、持っていますか?』(いずれも大和出版)、『怖れを手放す──アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ』(星和書店)、『10 代の子をもつ親が知っておきたいこと』(紀伊國屋書店)、『怒らない子育て』(青春出版社)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)などがある。ホームページ http://www.hirokom.org/

内容説明

拒食症をPTSDのような障害としてみる治療者は少ないが、著者の実感では、拠食症は強迫性障害やPTSDのように不安障害とみたほうが現実の治療に即しているという。本書では、過食症も含めた摂食障害全体を「不安の病」であるとみなし、治療者の仕事の目的は「安心の提供」であるという強い信念に基づいて治療の実際が語られてゆく。患者の気持ちを深く理解し、傷つけることなく寄り添おうとする治療者のまなざしが、温かい。

目次

第1章 摂食障害に対人関係療法的アプローチを適用する根拠
第2章 摂食障害患者における不安を考える―「役割の変化」という視点
第3章 不安を扱う基本姿勢
第4章 症状を位置づける―患者の症状に干渉しないことの意味
第5章 治療者の不安に向き合う
第6章 家族の不安に向き合う
第7章 不安をコントロールして現状を受け入れる―「位置づけ」という考え方
第8章 不安をコントロールして前進する―「土俵」に乗せるという考え方
第9章 病気と治療を「位置づける」

著者等紹介

水島広子[ミズシマヒロコ]
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』(岩崎学術出版社)を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。国際対人関係療法学会(ISIPT)理事。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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shizuca

6
気になったので読みました。食べられなくなるきっかけって本当にささいなことなんだな。そしてそれは個人的なものだからなかなか周囲はわからないし、わかったとしても理解できない。 理解できないものに寄り添うってどうすればいいのだろう。寄り添うことすら偽善じゃないのか、とまで思ってしまう。理解することと理解できている、は違うんだよな。2021/09/21

ベランダ

5
摂食障害を病気として見て、取り組んでいく。摂食障害に追い込まれやすい性格や言動パターンについては、共存していくしかないのかなと受け入れかけていたが、きちんと治る療法が書いてあり、治したいと心から思った。今までも治療は受けてきた。治療方針をきちんと理解しておらず、症状が減ればいいと思ってきたがそれでは不十分だと思った。盛り沢山な内容なので、端から端までは読み切れていない。必要なところを拾い読んでいる。「安心の提供」の徹底ぶりがすごい。対人関係療法についてざっと読んで、これは私に必要なことだと心から思う。2016/11/15

ジュリ

4
「自分もこうして欲しかった」、「こういうことあるよね」という部分があり、涙が出てきた。この本を読むだけでも、対人関係を少し改善していけそう。著者のように不安に寄り添ってくれる人が身近にいるといいな。2016/12/05

ジュリ

2
摂食障害を改善していくためには、安心できる環境を整えることが大切。そのために治療者と家族が協力したり、家族の支えが必要。2020/12/26

海星梨

2
あぁ、といろいろと納得する。2020/10/21

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