出版社内容情報
◇ 解 説 ◇
シカゴ学派の社会的自己の概念を受け継ぎ,日常世界に生起する相互行為のコンテクストにおいて,自己がどのように呈示されるかを演出論的視点から追究する。社会学研究における日常性の復権を目指す先駆的著作。
◇ ゴッフマンの社会学シリーズ ◇
ゴッフマンの社会学2 出会い
ゴッフマンの社会学3 アライサム
ゴッフマンの社会学4 集まりの構造
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
6
人は自分の周りにある社会に合わせて自分を作るので、反応としてしか存在し得ないと考えれば、すべての自分が本当の自分であると言えます。コミュニケーションというラリーを打ち返す瞬間の一点に自分が集約されて存在しているのであって、それこそ社会学の原子とも言うべき行為と言ってもいいものではないでしょうか。そういう意味ではゴフマン先生は伝統的な社会学をしているとも言える訳ですが、日常という四次元世界にある行為という点を集めて論文という線を作るのは天才的なセンスが必要で、誰もが同じことが出来るものではない気がします。2018/01/15
ゲニウスロキ皇子
5
出会いやら集まりやら些細なことに注目させると右に出るものがいないゴッフマン。本書でも日常生活において、人々が実に身の回りの資源(モノ・人・身分など)を使い、他者に対して自己呈示をしているのかということが記述されている。面白いのは、自己呈示する側・パフォーマーと、自己呈示される側・オーディエンスとが分離されてはおらず、常に相互行為のもとに置かれているという観点を提示していること。この分析視覚はどんな社会分析にも使えるから、大変便利。2011/02/20
Yoshi
3
現代演劇を知る上で読むべきとのこと通読。 社会学の上でのドラマトゥルギー。 人は集団の中で役割を演じていて、この相互行為秩序の事を演劇の話の筋、ドラマトゥルギーという言葉に当てはめている。 分かりやすい所だと自分の彼氏に弱いふりをする女性や、ウエイターがうやうやしくお客に接するそれは演技それ自体である事等。 その上でチームがあり、チームの中でもそこに属さない人たちの役割や舞台裏が存在しており、その中に様々な行為がありその一つ一つにその場を演じる為の意義づけがされているという、とても興味深い観点の本だった。2020/07/27
よく読む
3
人は「印象操作」をしている。そのときのコンテクストや立場、相手の求める自己像、相手からどう見られたいかによって、行動を調整する。オーディエンスを支配するパフォーマンスをする人もいれば、謙虚そうに見られるよう振る舞う人もいる。また、時と場合にもよる。そのようにして、自分にとって望ましい自分自身を「自己呈示」する。2016/02/29
まあい
3
対面コミュニケーションにおける「あるある」を徹底的に整理したような作品。訳文が古い(というか正直悪文……)ので若干読みづらいが、具体例が多いため理解はしやすい。引用「自己は呈示される場面から〔さまざまな印象を〕寄せ集めて生ずる一つの劇的効果 dramatic effect であり、それに特有の問題、すなわちきわめて重要な関心事は、その自己に信がおけるかいなかということである(p298)」2016/02/27