内容説明
自殺者の大多数は、最後の行動に及ぶ前に、誰か特定の人を選び出して、自殺にまで追い込まれた絶望的な感情を打ち明けている。その「孤独な魂の叫び」を受け止めることができるかできないかが、自殺予防の成否に直接かかわってくるのだ。
目次
第1章 自殺の実態とカウンセリング(最近の自殺の現状;自殺のリスクをどう評価するか ほか)
第2章 自殺予防におけるカウンセリング(カウンセリングの位置づけ;カウンセリングとは ほか)
第3章 自殺予防のカウンセリング(自殺予防の三段階;カウンセラーの機能 ほか)
第4章 事例
著者等紹介
藤原俊通[フジワラトシミチ]
1989年、防衛大学校人文社会科学部管理学科卒業。2002年、筑波大学大学院修士課程(カウンセリングコース)修了。臨床心理士。同年より、自衛隊中央病院精神科心理幹部(カウンセラー)
高橋祥友[タカハシヨシトモ]
1979年、金沢大学医学部卒業。1987~88年度フルブライト研究員(UCLA)。2002年より防衛医科大学校・防衛医学研究センター・行動科学研究部門・教授。医学博士、精神科医
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感想・レビュー
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田園の風
2
訳あってこのような本を手に取ることになった。本のエッセンスをメモする。1.自殺者・予備軍の大半は、うつ病等の精神疾患を抱えている。これは僕の主観だが、内科的疾患をかかった人に誰もが休養を勧めるのと同様に精神の病あるいは疲労でも同様に、まずは休ませることだ。2.話をはぐらかせたり、批判、当たり障りのない励ましはしない。3.対話の中で相槌等の共感の態度や相手の考えを整理させる言葉を挟む。4.徹底的な傾聴。5.カウンセラーに対する過度な依存・敵対・攻撃性を持つ相談者はカウンセラー同士で自殺予防の防波堤を強める。2015/05/20
蜜柑食べたい
0
自殺予防のカウンセリングを学ぶために読んだ。理論を滔々と整理して伝えてくれる本。理性的に書かれる中でもにじむ感情的に温かい部分とが印象的。自殺事案においても、いやむしろカウンセリングの基礎の基礎、気持ちの受容と共感とリスクアセスメントの徹底こそが重要であると考えさせられた。非常に勉強になった。2021/11/02