内容説明
スピヴァクによれば、交渉とはひとが「そのなかに生きることを余儀なくされている何物かを変えようと努めること」であり、「ポジションが弱いものであればあるほど、よりいっそう交渉しなければならない」ことになる。文化的差異が構築される界面、交渉の実践のアリーナは、さまざまなところに存在している。本書では、文化をめぐる交渉と交渉のプロセスとしての文化へ照準する。
目次
序章
第1章 異種混淆の近代と人類学
第2章 奴隷と黒人の近代―帰還と回復の神話をこえて
第3章 ブラジル独立後のコロニアル言説
第4章 ブラジル・モデルニズモのレッスン―文化の脱植民地化とは何か
第5章 近代への別の入り方―ブラジルのインディオの抵抗戦略
第6章 カトゥキナの隣人たち―アマゾン先住民族の現在
第7章 芸術/文化をめぐる交渉―グアテマラのインディヘナ画家たち
著者等紹介
古谷嘉章[フルヤヨシアキ]
1956年東京生。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。学術博士。現在九州大学大学院比較社会文化研究院助教授。専門は文化人類学。著訳書に『民族交錯のアメリカ大陸』(共著、山川出版社、1984)、『環境と音楽』(共著、東京書籍、1991)、『陶酔する文化―中南米の宗教と社会』(共著、平凡社、1992)、『岩波講座文化人類学 第12巻 思想化される周辺世界』(共著、岩波書店、1996)、『〈南〉から見た世界5 ラテンアメリカ―統合圧力と拡散のエネルギー』(共著、大月書店、1999)、『越境する知6 知の植民地:越境する』(共著、東京大学出版会、2001)、ジョゼフ・M・ルイテン『ブラジル民衆本の世界』(共訳、御茶の水書房、1990)など
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