出版社内容情報
日常生活の些細な行為の背後にひそむ心理にメスをあてた「日常生活の精神病理学」、心的機制に関する理論を正常者にも拡大し、最も生産的な創造力を示した「機知――その無意識との関係」と、著者自身が自己の秘密と、その苦難の歴史を語る「自己を語る」他。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
10
心理学で他人を支配する術を学ぶどころか、精神分析をやることで自分の本心が錯誤行為を通じてすぐにバレてしまって嘘すら吐けなくなったフロイト先生の錯誤行為論、ジョーク論及び自伝的小編。オカルトの論理と正反対の思考だと自負するのは、前者が外的必然(運命とか神霊とか)に帰するものをただの偶然と見なす代わりに、内的心理的なメカニズムのうちに偶然の要素を認めないからなので、当然すべての行為は背後に何らかの動機があると想定。「夢は願望充足」「性が根本衝動」なんて強調してないと本書でも説明してるけど、誤解は消えない模様。2014/12/03
ポカホンタス
3
勉強会で読んだ。昔読んだ『精神分析入門』の錯誤行為の部分とほぼ同じような内容。次々と出てくる膨大な実例にげんなり。あらゆる偶然を無意識的作為として解釈する、その偏執狂的な態度にもあらためて驚かされる。たくさんの短編ミステリーを読んでいるような気分にもなった。かつて中井久夫先生が、フロイトを読むならこの本だ、とおっしゃっていたが、それは、またフロイトがメタサイコロジーを構築する前の、素朴な「無意識の発見」が提示されているからかもしれない。大発見した人の必然的高揚感が偏執狂的に映る?2014/03/16