出版社内容情報
古今東西の文学を縦横無尽に論じる、比較文学者西成彦による満を持しての?外論。戦時性暴力を静かに断罪する『鼠坂』、性欲処理に悩める男を描いた『舞姫』、民衆の語りを政治の語りに変えてみせた『山椒大夫』など、人間の身勝手さ、残酷さ、恥ずべき側面を、?外は見逃さない。魅力的な素材であったのだ。近代の申し子ともいうべき?外の冷徹なまなざしが明らかになる。その視線の下で恥じ入るべきは、レイプされた植民地の女や徴兵逃れの罪をおそれる移民の老婆ではなく、植民地帝国の男たち、そして恥を直視できない「腰砕け」のわれわれなのだ。
【著者紹介】
1955年生まれ。立命館大学先端総合学術研究科教授。専攻は、比較文学、元ポーランド文学。主な著書に『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波書店 1993年)、『イディッシュ‐移動文学論1』(作品社 1995年)、『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社 2011年)訳書に『ペインティッド・バード』(松籟社 2011年)『牛乳屋テヴィエ』(岩波文庫 2012年)などがある。
内容説明
古今東西の文学を縦横無尽に論じる、比較文学者西成彦による満を持しての鴎外論。
目次
1 鼠坂殺人事件ほか(鼠坂殺人事件―性暴力と「恥」について;老移民と皇太子―愛国心と「恥」について;『鼠坂』(森鴎外)
『籔の中』(後半)(芥川/龍之介))
2 性欲と石炭と植民地都市―『舞姫』再考
3 鴎外と漱石、そして百〓(けん)(鴎外と漱石―乃木希典の殉死をめぐる二つの文字;『三四郎』の下層;百〓(けん)と漱石、あるいは百〓(けん)の漱石
反=三四郎の東京)
4 『山椒大夫』における政治、あるいは宗教離れ
著者等紹介
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年岡山県生まれ。兵庫県出身。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。熊本大学助教授を経て、立命館大学先端総合学術研究科教授。専門は比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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