出版社内容情報
「文化」概念の再考を提起した名著。著者最新インタビューと詳細な解説を付ける。
内容説明
文化概念の再考を迫る名著、待望の邦訳。著者インタヴューと解説「批判人類学の系譜」(太田好信)を収録。
目次
純粋なものが、狂ってゆく
第1部 言説(民族誌的権威について;民族誌における権力と対話―マルセル・グリオールのイニシエーション ほか)
第2部 転置(民族誌的シュルレアリスムについて;転置の詩学―ヴィクトル・セガレン ほか)
第3部 収集(部族的なものと近代的なものの歴史;芸術と文化の収集について)
第4部 歴史(『オリエンタリズム』について;マシュピーにおけるアイデンティティ)
著者等紹介
クリフォード,ジェイムズ[クリフォード,ジェイムズ][Clifford,James]
1945年生。カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校(意識の歴史プログラム)教授
太田好信[オオタヨシノブ]
1954年生。ミシガン大学大学院博士課程修了。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。文化人類学
慶田勝彦[ケイダカツヒコ]
1960年生。九州大学大学院博士課程中途退学。熊本大学文学部助教授。文化人類学
清水展[シミズヒロム]
1951年生。東京大学大学院博士課程退学。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。文化人類学
浜本満[ハマモトミツル]
1952年生。東京大学大学院博士課程単位取得退学。一橋大学社会学研究科教授。社会人類学
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感想・レビュー
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★★★★★
4
これは非常に面白かった。今年読んだ本の中では、今のところ一番です。ごく簡単に要約すると、民族誌やコレクション展示などの分析を通して従来の文化人類学の中に存在した植民地主義的な権力の布置を暴き出したうえで、昨今の情勢からその体勢がすでに崩壊しつつあることを論じ、もはや西欧的な知の体系から生み出されてきた「部族」や「文化」といった概念さえ成立しえないのではないかと問うというものです。つまり著者は、「文化」の直面しているこの状況を"Predicament"(翻訳では「窮状」)と表現するのですね。そして、植民地主2009/09/19