内容説明
大東亜戦争の直前、日本海に海底トンネルを掘り、大陸とを広軌の高速鉄道で結んで、人と物とを大量に輸送しようとする壮大な構想があった。そしてそれは、昭和39年、東京オリンピックの年に開業した東海道新幹線の原型となった。新幹線への夢をつないだ男たちを描く書き下ろしノンフィクション。
目次
序章 “夢の”超特急
第1章 大陸への動脈
第2章 膨張する「構想」
第3章 実現への胎動
第4章 戦火の中で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴァン
7
戦前に計画された時速200キロで走る、標準軌1435mmの高速鉄道についてのドキュメントである。東京から出発した列車を海底トンネルで朝鮮海峡を横断させ、北京へと走らせる国際特急の構想で、この路線をトレースさせるかたちで現在の東海道新幹線が運転されている。技術力の先進性について日本の当時のレベルが抜きん出ていたことが立証されている。
千本通り
0
現在の新幹線の原型として、戦前に超高速列車構想があった。しかしそれは満鉄に特急「あじあ」号が走っていたからで、流線型のパシナ型機関車として大連ー新京(長春)間701.4キロを8時間半で結び、平均時速82.5キロ、最高時速120キロを誇った。ちなみに本土で一番早かった特急「つばめ」でさえ、平均時速60.2キロ、最高時速95キロだった。満州事変や日華事変が対大陸輸送の急増を招き、東京ー下関、その後関釜連絡船に乗り継ぎ、朝鮮鉄道、満鉄、中国華北交通線に乗り入れ、終着北京に3日で到着するという構想まであった。2021/09/15