内容説明
壇ノ浦で入水した安徳天皇の異母弟・後鳥羽上皇。鎌倉幕府打倒の兵を挙げるが、敗れて隠岐に配流。その悲劇的な生涯と人間後鳥羽上皇を赤裸々に描く書き下ろし歴史小説!他に佐渡に流された世阿弥を描く「花、残映」を収録。
著者等紹介
内村幹子[ウチムラミキコ]
本名・宇山翠。福岡県に生まれる。昭和61年、「今様ごよみ」で第10回歴史文学賞受賞。平成6年、北九州市民文化賞受賞。北九州森鴎外記念会理事
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感想・レビュー
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りー
3
配流、という共通のテーマで書かれた2作が収録されています。1つ目は、承久の乱で後鳥羽院の近くに居た人々が書かれた中編。慈円、順徳帝の生母重子、白拍子亀菊、そして後鳥羽院自身。定家も登場。この時代以降、公家や朝廷が、もはや文化を継ぐことにしか存在意義を持てなくなっていくことを思うと、後鳥羽院が新古今和歌集に込めた想いの大きさがうかがえます。もう1作は、順徳帝と同じ佐渡に流された世阿弥を書いた小編。なんというか、2作とも時代の雰囲気を感じるには良かったですが、物語の芯が掴みにくかった感じがしました。2018/06/16
ウッディとバズ
1
海は哀しというタイトルで本を手にとってみると、主人公は壇ノ浦に沈んだ平家縁の人であると記してある。それで興味を持って読み進めると主人公は後鳥羽天皇の女院修明門院重子という人で、この女院と慈円の目を通して承久の乱の顛末と後鳥羽天皇の悲劇が語られる。この作品もある意味敗者から見た歴史ということだろう。もう一編、花残映という作品も収められている。これは世阿弥が佐渡に流される話だが、順徳天皇ゆかりの桜をみるという点で最初の作品と繋がっている。2013/06/17