内容説明
ニーチェやハイデガーのような思想は、検証できない知なんです。いま哲学をやっている連中は、検証できないような知は大ぼらか単なるイマジネーションにすぎないとして、検証可能な知だけを対象に一所懸命哲学をしようとするけれども、著者は、哲学とは検証できるような知じゃないと思う。哲学というのは幾何学でいう補助線みたいなもので、それ自体に現実性があるわけじゃないけど、それを引くことによって、現実なり歴史なりがそれまでとまるで違って見えるようになるものだと思うんです。
目次
1 回帰するハイデガー(三浦雅士)
2 知識人とナチズム(福田和也)
3 脱構築としてのミステリー(笠井潔)
4 哄笑とニヒリズム(松山巌)
5 小説と哲学(保坂和志)
6 プラトンと現代(辻井喬)
7 ハイデガーの二十世紀(高田珠樹)
8 『存在と時間』を推理する(生松敬三)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニールキャサディ
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何度目かの再読。木田元先生が、親しい評論家や作家とハイデガー哲学やミステリーについて対話をしている。なかでも、福田和也との対話は興味深く、ハイデガーについて、思想の転回、ナチスへのコミット、社会学との関わり、ユダヤ教への態度など、論点が多くだされ、勉強になる。ガダマーの哲学修業時代を、次に読むこととする。2012/03/17
いわたん
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対談集なので読みやすかった。対談が苦手なので話しやすい仲の良い人との対談を引受けたというようなことが後書きや他のところで述べられているが、その交友の広さに驚く。以前、新本格ミステリを読んでた時期に気になりつつ(重くて疲れそうと感じて)敬遠していた笠井潔も登場。これを機に読み始めようかな。本書の中で、高田珠樹氏の発言部分だけ文章で書き下ろしたみたいで分かりづらかった。ここは後でもう一度読みなおそう。2012/01/26
ドルココ
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木田元と作家・哲学者との対談。といってもハイデガーについてがメイン。2009/07/31
やまざき
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個人的に好きな木田元さんの対談集。ハイデガーの話を中心に、いろいろな立場の人たちと哲学について話した対談がまとまっている。知的な人たちの対談がとても面白く、またハイデガーについての知識も深まった。いくら偉大な哲学者でも、その時代の特色には多少なりとも影響されるんだな、と認識した。2022/04/02