内容説明
90年代カルチャーを牽引した「渋谷系」はどのように生まれ、なぜ衰退したのか。アーティストや関係者の証言をもとに文化・社会的な見地で検証した1冊。
目次
第1章 源流を求めて
第2章 街の文化、レコードの文化
第3章 DIY
第4章 モッズとアシッドジャズ
第5章 呼応する街
第6章 千の秘密
第7章 フリッパーズ症候群
第8章 渋谷系が遺したもの
著者等紹介
若杉実[ワカスギミノル]
音楽ジャーナリスト。栃木県足利市出身。雑誌、書籍への寄稿をはじめCDのライナーノーツなどを執筆。CD、DVD企画も手がけ、これまで200タイトル以上送り出す。RADIO‐i(愛知国際放送)やShibuya‐FMなどラジオ番組のパーソナリティも担当していた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐久間なす
40
「渋谷系」を紐解いた歴史書。 「渋谷系」が流行っていた頃は、まだ赤ん坊だった私。そんな私が知識として知っているのも、90年代前半の流行していた頃の話。 それなので、渋谷系以前の話は、大変興味深く読みました。 ただ、そこにページ数が割かれすぎていたので、肝心の流行していた時代の話や、衰退した現在の話については物足りなかったです。今作は渋谷系の歴史がメインだったので、今度は音楽評論をメインにした本を読んでみたいと思いました。2015/02/02
なる
33
渋谷系という現象を著者自身の経験とインタビュー形式とで肉付けして体系的に解説している。その勃興期から関わっていたようで、かなり具体的なワードが並んでいて渋谷系に興味がある人向け。道玄坂のヤマハ、宇田川町のシスコ、ノア渋谷、公園通りのカフェ・アプリミディ…『Barfout!』や『サバービア』なんて単語に胸が踊る。邦楽が好きなら避けては通れない渋谷系。全盛期を体験することはできなかったけれど残滓みたいなのを感じとれる。そのいくつかの場所はもう存在しないけれど彼らが残した音楽は確実に今も根付いている。2021/09/01
アズル
16
図書館本。興味は存分にありますが、読み進めるのが妙にかったるく感じ、途中でやめました。渋谷系なムーブメントが躍動していた頃、私は田舎の学生で、ベレー帽をかぶったオリーブ少女など目の当たりにしたことはありませんでした。音楽的な部分から渋谷系は始まったと思いますが、おしゃれに生きていくセンスのようなものは今でもしっかり私の胸の中に刻まれています。2018/04/22
ミエル
15
体型的時系列に語られる渋谷カルチャー史、良くまとまっている。とは言え、90年代からしか知らないのだが…渋谷文化で育ち、いまだにそこからあまり遠くに行っていないので、過去形や「衰退」という言葉に寂しさを覚える。表面的には綺麗に取り繕われた現代の渋谷という町よりも、汚くて猥雑で暑苦しい当時の渋谷、懐かしい固有名詞に切ない気分、笑。多感な時期に触れた文化は、その人の成分のひとつとして生き続けるのではないかと、自分を通して体感実感する思い。。本編の感想よりも個人の思い入れ、ノスタルジーばかりの読了感。2015/03/11
nizimasu
13
著者の若杉実三と言えば、まさにクラブミュージックの伝道師である人でリミックスなどの雑誌で随分、記事を読んでいただけに個人的には懐かしい。そんな若杉さんが渋谷系について書いているのだから面白くないはずがない。渋谷系を定義するよりも個人的な渋谷系との関わりを通して、渋谷系という現象を解き明かしていく。サブカルは多分に個人的な体験と結びついているのは、宮沢章夫さんの論考でも明らかだけど、その点について若杉さんがイギリスのムーブメントであるアシッドジャズと対照していて紹介しているのが面白い。同時代の醍醐味を満喫2014/11/02