内容説明
ペーター少年は幼いころに事故でお母さんをなくしました。でも、ベルリンで外交官をしている無鉄砲で陽気なお父さんや、ハンガリーでお医者をしている厳格で規律正しいおじいさんに深く愛されています。ドイツでナチが権力を握り、ユダヤ人を迫害し、戦争の暗雲が立ちこめる困難な時代に、勇気をもって生きた父子三代の愛情を描いた作品です。ドイツ児童文学賞受賞作。小学5年生以上。
著者等紹介
赤坂桃子[アカサカモモコ]
1955年東京生まれ。上智大学文学部ドイツ文学科および慶應義塾大学文学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
18
ハンガリーの少年ペーターは外交官のお父さんと共にドイツに移り住む。完璧なドイツ語を身につけ、学校で教えられたままにヒトラー総統はいい人でユダヤ人は悪い奴だとおもっていた。だがある事件をきっかけに、思いもがけない話をお父さんから打ち明けられるのだった。やがてペーターはハンガリーのおじいさんの元に預けられお父さん一人がベルリンに残ることになる。ペーターは週に一度届くお父さんからの手紙を待ちわびるのだったが…。淡々と語られる出来事の裏側に透けて見えてくるあれこれが切ない。 2017/02/24
テツ
14
ハンガリーの外交官である父親ラズロと共にナチス政権下のドイツで暮らす少年ペーター。戦争の気配が強くなるとペーターはハンガリーに住む祖父に預けられラズロは一人ベルリンに残る。それから週に一度届く父からの手紙。淡々と綴られるドイツの情勢。そして息子への愛。いつしか手紙は手書きではなくタイプライターで書かれるようになっていた。息子への、そして孫への愛情。父と祖父だけの秘密。父から伝わった「自分の頭で考えること。なにも恐れないこと」という生きる上でとても大切な姿勢。とても良い本でした。他の作品も読んでみたいです。2017/02/27
杏子
9
ペーターのお父さんラズロは、子供の頃から無鉄砲な性格で、20歳の時にドイツから遊びに来ていた16歳のダリアと恋におち、あっという間に赤ちゃんができ、結婚式をあげ、ペーターが生まれた。時代は1930年代、ナチスドイツによる戦争の影か色濃くなっていった。けれど、ペーター少年のまわりでは違った。お父さんのラズロ、ハンガリーにいるおじいさん、家政婦のテア、その他たくさんの人々の愛情に包まれ育っていく。毎週、お父さんから送られてくる手紙が突然、手書きからタイプライター打ちの手紙に変わったこと考えたら‥‥愕然となる。2014/08/27
piece land
0
1933年から19445年までのヨーロッパおもにドイツを、子供の目から、ハンガリーと言う隣国から感じ取った、作品。 子供に対する周囲の音なのはいりゃや愛情のかけ方が、日本とは違う感じだった。2015/09/29
ともこ
0
悲しい話だった。ナチの時代は悲しいこともたくさんあったけど(9万人もの人が強制収容所に)、反面、助けようとした一千万人のハンガリー人もいたと知った。そして、おじいさんの愛の深さに涙。素敵すぎます。戦争はダメだね、ほんと。2023/05/29