出版社内容情報
葉室麟[ハムロリン]
内容説明
一揆から三年、豊後羽根藩の欅屋敷で孤児を見守り平穏に暮らす楓の許を、謎の男・草薙小平太が訪れる。彼には楓の元夫で、大功を挙げた後、藩主・三浦兼清の旧悪を難じ上意討ちに遭った前家老・多聞隼人と因縁があった。だが、楓と出会った刹那、小平太の中に一つの想いが芽生える。やがて兼清の罪を断じ羽根藩の改易を目論む幕府の巡見使来羽の時が迫る中、旧悪を知る楓たちには藩の魔の手が…。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。07年、『銀漢の賦』で第14回松本清張賞を、12年には『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
125
葉室麟は、新作中心に読んでいる作家です。羽根藩シリーズ第四弾、4作共完読しています。何時ものパターンではありますが、本作は少年探偵団的な要素や七人の侍的な雰囲気もあり、新鮮な気持ちで読めました。羽根藩シリーズは著者の作品群の中では比較的クオリティが高いかも知れません。2016/06/14
それいゆ
69
予測どおりラストの展開はお決まりのパターンでした。分かっていながら、またもや涙してしまいました。清々しい満ち足りた気分です。羽根藩シリーズも4作目ですが、「蜩ノ記」以外はどんな内容か忘れてしまいました。他の作品もこんがらがって、みんな同じストーリーです。葉室さんの時代小説は究極のワンパターンとなってしまいました。もちろん、読むたびに感動が刻まれていくのですが、飽きてしまった自分があります。これまでとは違った結末の予測が不可能な究極の超大作を執筆して欲しいと切に願っています。2016/08/10
きむこ
68
葉室さんの武士の不器用な生き方の世界が好きです。武士の高飛車なプライドではなく、こだわり続ける人としての筋や道が私の心に優しく厳しく響く。登場人物がみんないい人になっちゃうって所は高田郁作品に似ているけれど男性目線なのでもっと凛とした空気が流れている。秋霜とは・・権威の厳しさや意志の堅さなどのたとえらしい。一気読みで涙腺崩壊。今回も堪能です♡★52016/06/04
のぶ
59
武士の潔さと爽やかさ、女性の強さを感じさせられた本だった。葉室麟作品を読むのは初めて。「蜩ノ記」を映画で観ているので、舞台の豊後羽根藩の雰囲気を少しは解っていたものの、シリーズの4作目をいきなり読むのは、人物関係のつながりがわからず、いくらか厳しいものがあった。だが孤児を守り健気に暮らす楓の姿は心を打つし、謎の男小平太の行動も面白いものだった。時代小説はあまり読まないが、こんな歴史で日のあたっていない藩が舞台の作品は好きだ。楓と小平太の幸せを予感させるラストも感動的だった。2016/08/05
baba
44
羽根藩シリーズ4弾。前作で亡くなった鬼隼人の痕跡が随所に出てきて、正に死んでも人が覚えている。卑劣な前藩主の振る舞いは相変わらずだが、家老と従者のお家の為にの芯のぶれない姿はなかなか。辛い育ち方をした小平太が生きる希望を見い出せたようで良かった。なにより楓が育てている子供達の健気さ、逞しさがたまらない。2016/07/05