内容説明
文明開花に沸く明治5年(1872)。突然の再会が若い男女の運命を揺るがした―英語通詞を目標に函館の商社で働く雨竜千吉。横浜で米国人の妻となっていたお順。幼なじみで、互いに淡い恋心を通わせていた二人が、しまいこんでいた気持ちを開くのに、時間はいらなかった。千吉が上京のたび逢瀬を重ねる二人。しかし、密会はあえなく露見した。やがて、お順は激昂する夫に対して離婚を懇願する。夫の答えは、離婚後、一年間は決して男性と交際しないよう監視を付けることだった。それとは知らぬ千吉は、お順の離婚の噂を聞くや…。新しい時代の潮流の中で、さまざまな葛藤に苛まれながらも真実の恋を貫こうとする、激しくも一途な男女を描く、著者初めての明治ロマン。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年(昭和24)北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学卒業。’95年「幻の声」でオール読物新人賞を受賞。一躍、斯界の注目を集める。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞を、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞をそれぞれ受賞した
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感想・レビュー
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ゆみねこ
50
何だか優柔不断な千吉にいらいらさせられる展開でした。お順も気が強く突っ走り気味で。小鶴の純愛が哀れでした。2016/03/21
けんちゃなよ
15
このタイトルを聞くと年代的に「Billy Joel」を連想してしまう。文明開化当時の耳慣れないワードをメモして検索する作業が一興だった。メインテーマは、英語をなぜ学ぶのか?試験の為でも、偏差値の為でもない。言葉を通じて外国人との意思疎通を図りたい箇所、是非、これから英語を勉強する若者に読んでほしい。読了後「Billy Joel」を聞きながら書評コメント作成は言うまでもない。酷評を言えば、恋愛話は、とって付けたような淡泊な展開だったことが残念。それでも「得るもの」が多かったので、お薦め4ツ星★★★★2021/03/18
さなごん
15
お順さん無鉄砲すぎやしませんか2015/12/06
藍
11
宇江佐さんは、江戸物がいいかな~(^-^; なんだかテーマが掴みづらくて、どこに視点を置いて読めば良いか迷っているうちに終わってしまった感じ。小鶴の存在がいじらしかったです。2017/01/06
あかんべ
8
突っ走りすぎのお順に、優柔不断の千吉。同じくらいの年齢なら早熟な女に対して男は少し時間が必要なのか。恐ろしく速く回り始めた世の中に付いていくのは大変だったろう。2016/01/16