内容説明
既成の価値観を否定し、神仏をも恐れない男織田信長。彼の出現は、応仁の乱以来、100年以上続いた我が国最大の戦乱に、一大転機をもたらした。世界で初めて、最新兵器“鉄砲”を大量に戦に動員したり、また、鋼鉄製の巨大戦艦で毛利水軍を蹴散らしたのはほんの一例にすぎない。冷徹非情の心と抜きん出た合理精神は、明らかに日本を別な方向へ牽引していこうとしていた…。が、天正十年(一五八二)、本能寺に信長が斃れるや、日本の運命は激変した。徳川家康による天下統一と、やがて訪れる270年の泰平は、信長が苛烈に想い描いていた夢そのものだったのか。戦国の動乱から元禄期の江戸と京の繁栄を描く大河歴史小説。