内容説明
物部氏を滅ぼし、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの蘇我氏全盛の時代にあって、聖徳太子の心は晴れなかった。閨閥で繋がっていようと、蘇我馬子はあくまで家臣であるはずなのに、崇峻天皇さえ謀殺する傲慢さ、祖国である百済国へのあからさまな親交政策などを目の当たりにし、自らに蘇我の血が色濃く流れているゆえになおのこと疎ましかったのだ。やがて、太子は水面下に一石を投じた。それが、緩やかな、しかし歴史を呑み込む大きな波紋を広げていった…。聖徳太子一族の謀殺、蘇我氏の滅亡、中臣鎌足の台頭、そして桓武天皇の平安京遷都に至るまでの二百年間を、血で血を洗う帝たちの闘争を縦軸に描く大河歴史小説。