内容説明
邸宅「六条院」の絢爛たる四季と夕顔の忘れ形見、玉鬘をめぐる男女の人間模様―。源氏三十六歳、華やぎの日々。
目次
蛍
常夏
篝火
野分
行幸
藤袴
真木柱
梅枝
藤裏葉
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶応義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞。『源氏物語』に関する著作、講演も多数。エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能評論等も多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひさしぶり
20
近江の君の品のなさがかえって滑稽。幼なじみの宰相の中将と雲居の雁はめでたしめでたし。明石の君の入宮にあたり養母 紫上と実母 明石の御方が互いに喜び心打ち解けまた良い。玉鬘は本当は男嫌いだったんじゃなかろうか。明けて翌年40歳になる源氏、各々方も位があがり源氏物語の半分。2019/11/11
colocolokenta
17
源氏も(元)頭中将もいいおじさんとなってきた。葵の上、夕顔、六条御息所、紫の上、明石の君。様々な女君たちと織りなした若き日々が集束して来た。一、二巻あたりで感じていた軽薄感が徐々に変容して来ているのがわかる。源氏の女好きなど、今の世でもまあ、ちょっと、という程度。それより、ここまでの話の伏線が既にあの夜の話にあったとは驚く。壮大な平安王朝物語もここがまだ折り返しとは。だが、半分を読み終え、この先を読むのがもったいなくなってきた。この先は、ちょっと休んでから、もっと丁寧に”しみじみと”読み進めていきたい。2015/08/22
長谷川透
14
玉鬘に想いを寄せる源氏。母の面影を残す女性に恋をしたり、10代にも満たない幼女を可愛いと思い結婚を企てた源氏であるが、今回は直接的な血の繋がりはないものの、養女である玉鬘に恋をし思い煩っておられるご様子。だが、残念。彼女は髭黒の右大将と結婚し、源氏の野望はついえてしまう。この巻の終わりで源氏は39歳で、地位はなんと準太政天皇という天皇級まで上り詰める。系図もすごいことになってきたが、やっとこさ全体の半分読了です。2012/06/10
もっひぃ
10
今まで玉鬘という人は結局、最後髭黒に無理やり結婚させられてしまう人、という認識しか無かったので、何帖にもわたって登場したのには驚いた。この巻では「右大臣」=もと頭中将、「頭中将」=柏木という事を頭に入れておかないと混乱する。2017/03/18
ナツメ
9
第二十五帖『蛍』から第三十三帖『藤裏葉』まで。前巻の『玉鬘』から『真木柱』の帖までは夕顔と頭中将の娘である玉鬘が中心のため【玉鬘十帖】とも呼ばれているそうです。後半は源氏の息子の夕霧と、その想い人である雲居の雁の話。玉葛は思いもよらぬ結婚をすることになりますが、夕霧は想い人と結ばれる……。夕霧は相手方の親に反対されたにもかかわらず最終的には想いを遂げ、天皇にさえ望まれた玉葛がこの結末になったあたり運命の妙を感じます。光源氏でさえも予想できないのだから、そりゃあ全ては前世の行いの所為とも言いたくもなりますね2017/09/27