出版社内容情報
大下 英治[オオシタエイジ]
内容説明
二〇一六年七月三十一日、一人の力士がこの世を去った。小柄ながら躍動する筋肉で大型力士を次から次へと投げ飛ばす、伝説の横綱千代の富士。国民から愛されたスターの裏には、想像を絶する苦労があった。左肩の脱臼癖。幕下落ちの屈辱。生まれたばかりの三女の訃報。飛び交う引退の噂。そして気力、体力の限界―剥き出しの闘志で我々を虜にした、昭和の名横綱の記憶。
著者等紹介
大下英治[オオシタエイジ]
1944年、広島県生まれ。広島大学文学部卒業。「週刊文春」記者時代に『小説電通』でデビュー。1983年「週刊文春」を離れ、作家専業として政財官界から経済、芸能、犯罪まで幅広いジャンルで精力的に執筆活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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anken99
7
大作。昭和の大横綱、千代の富士の物語。急逝後に、最期のシーンを加筆し、文庫化されたもの。若き日のウルフの姿を見ていた、幼少の自分が思い出される。最期の場所の初日、貴花田との激闘を綴るシーンは、まさに手に汗握るという感じ。それにしても、あまりにも早い急逝が悔やまれる。2019/04/08
駄目男
7
思えば私の相撲ファン歴も約40年。まだ千代の富士の千も知らなかった北の湖・輪島時代の話しまで溯るが、千代の富士、本名秋元貢少年に相撲入門の話しが持ち込まれたのは昭和45年7月末とある。運動神経抜群な少年がいると聞いて若狭龍太郎先生なる人物が学校を訪ねて来られた。その若狭先生が郷土の英雄、横綱千代の山を発掘した当の本人ということだが、貢少年に「どうだ、相撲取りになる気はないか」と持ち掛けた。しかし貢少年の答えは!「オラ、好きじゃねぇだ」あの時代の事が鮮明に蘇ってくるようで心熱い。相撲界初の国民栄誉賞。 2017/05/25
Tomomi Yazaki
5
A級 これはある純朴な少年が相撲を通して成長し、度重なる脱臼を克服し横綱まで上り詰めた、まるで物語のような実話である。少年期の話を読んだ私は、胸と、なぜか目頭が熱くなってしまった。最後まで読み終えて、是非とも「千代の富士物語」として映画化して欲しい気持ちを持った。が、嘘や曲がったこと嫌いな純粋な少年が、そして不屈の大横綱が、信じられないことに八百長力士となり、一時期、相撲界を制覇してしまった。あたかもあのかわいらしいアナキン・スカイウォーカーが、暗黒世界の使徒・ダースベーダーに変貌してしまったように・・・2017/01/13
セイント
3
故郷の英雄に惜別の念を込めながら読了。改めて偉大な横綱だったとの思いを深めた。相撲は単なる興行ではなく真のプロフェッショナルたちの人生を掛けた戦いだから人を引き付けるのだろう。2017/03/13
Galileo
3
千代の富士のご苦労が話の中心かと思って読み始めましたが、生涯を辿る内容だったと思います。千代の富士の精神力は、ぜひ見習いたいと思いました。2017/02/05