内容説明
大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。“あそこなら完璧な密室をつくることができる…”伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。2005年刊行の『扉は閉ざされたまま』が「このミステリーがすごい!」第二位に選ばれベストセラーに。上梓する作品が各種ミステリー・ランキングの上位を独占、『月の扉』は日本推理作家協会賞の候補となる。今最も注目を集めるミステリー作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
321
倒叙もので、かつ密室殺人もののミステリー。密室のトリック自体は驚く程単純で、この物語のキモはそこではない。キモは殺人の動機にこそある。およそこの様な殺人の動機を俺は知らない。さて、犯人目線で語られる物語はやや冗長さを感じさせはするものの、その中で犯人は時間の経過をしきりに気にしており、その事も作品の重要なキモであるので、この作品の場合冗長さも必要な要素かと。そしてそのタイトル。タイトルの意味するものは。密室のドアは閉ざされたまま、つまり殺人現場に誰も入らないまま、事件の全てが明らかにされる。独創的作品。2023/02/13
麦ちゃんの下僕
243
読メ登録200冊目。相沢沙呼さんの『invert 城塚翡翠倒叙集』が来月刊行されるのを前に、“倒叙ミステリー”の名作であり探偵役が一般女性である「碓氷優佳シリーズ」を何冊か読んでおこうと。いやぁ~確かにこの作品はスゴいですね!“ある条件”のため容易に踏み込めない密室内で実行された殺人…何とその現場に入ることなく(もちろん死体も実際に見ることなく)優佳は謎を解いてしまうんですから!(笑) 似た者同士&元恋仲である伏見vs優佳の“心理戦”は読み応え充分ですし…賛否両論ある“動機”も僕は面白いと思いましたよ!2021/06/01
散文の詞
222
最初から、犯行の様子が明らかになっているいわゆる倒叙ミステリーです。 しかも、これが昭和的な密室です。 これで、この小説が、倒叙ミステリーだと宣言しているみたいで、思わずニヤリとしてしまいました。 さあ、ここから、探偵がどうやってこの謎を解いていくのかが描かれるわけですが、これが面白い。 多少の強引さはありますが、いかにも対決している感じが読んでてハラハラドキドキです。 ただ、探偵役にあまり魅力を感じないのは、完璧すぎるからでしょうか。 あと、動機がどうなんでしょうね? 2022/03/18
三代目 びあだいまおう
222
これは相当読みやすくて面白い!優佳ちゃんの観察力、洞察力、とんでもない頭脳の片鱗を感じた冒頭からこの物語は面白くなりそうな予感。最初から犯罪も犯人も事件の真相も読者に明らかになっている、そこから犯人がいかに犯行を隠し通せるかの頭脳戦、さしずめ古畑任三郎!段々と追い詰められる犯人の鼓動、動悸、息苦しさ、途中のシーンや言葉の枝葉でちょっとずつ読者に気付かせ軽い優越感を授けるその手法に酔いしれました❗ロサンゼルス、ナパヴァレーの至宝オーパスワンをエッセンスにした本作、そうオーパスワンは奇跡的に美味しいの‼️🙇2018/11/24
ナルピーチ
191
いわゆる倒叙ミステリーの形式で進む物語。その為、最初から犯人と犯行トリックが描かれている。舞台はクローズドサークルと化した洋館で起きる密室トリック!探偵役を担う“碓氷優佳”と犯人役の“伏見亮輔”。互いに頭脳明晰ながらも“似て非なるもの”同士。事件の真相へと徐々に近づく碓氷に対し伏見は論理的、行動心理に基く思考で彼女の推理を否定していくのだが…。駆け引きの応酬合戦が凄まじく、4つの問題提起を軸に伏見を追い詰めていく。果たして“扉は閉ざされたまま”なのかそれとも開けられてしまうのか。二人の対峙の結末や如何に!2022/11/07