内容説明
堕胎医が軒を連ねる江戸・薬研堀。腕利きの闇医おげんの元に、手込めによって陰部を裂傷した娘が施術に訪れた。五日後、またしても若い娘がやって来た。連続強姦か?そんな矢先、おげんが堕胎術を施した娘が身投げした。やがて、これら三人の娘が親友と知りおげんが突き当たった、意外な真相とは!(「赤い傷」より)。現役医の乱歩賞作家が描く、本邦初の時代医学推理。
著者等紹介
川田弥一郎[カワダヤイチロウ]
洋の東西、時代の新旧を問わずに医学ミステリーの世界を描き続ける実力派である。名古屋大学医学部卒業後。1992年に『白く長い廊下』で第三十八回江戸川乱歩賞を受賞。現在、現役医として勤務する傍ら、旺盛な執筆活動を続けている。48年、三重県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっちゃん
16
阿蘭陀人との混血の主人公女医者おげん、堕胎専門といった産科医だけど、いろいろ事件に巻き込まれる!岡っ引の角十との因縁はイラつかせるけど、おげんの大人の対応がカッコイイ(笑)しかし、おげんには、もう少し幸せになって欲しいなぁ( ̄▽ ̄)2021/10/24
だいしょう@SR推進委員会
3
様々な事情で堕胎を望む女たちの施術をする、阿蘭陀人との混血であるおげん。そこには、もちろん重苦しい人間関係や江戸社会が見え隠れする。作家が医者なだけに、おげんの治療や病人の症状は客観的に描写されている。そのせいか、こちらも冷静に読めてしまう分、情感を得るのが難しい時もあった。最終話は、今までの堕胎だけのおげんが全く違った面を見せる。おげんの医者としての矜持を感じてよかった。先人たちである医者たちの試行錯誤の末に今があることを、作家はさりげなく伝えているようだ。2011/11/09