内容説明
「あなたは母の生まれ変わりです」大学教授秘書の古橋万由子は、二五年前に変死した画家高槻倫子の息子秒に告げられる。遺作展で、万由子は強烈な既視感に襲われ、「鋏が…」と叫んで失神したのだ。倫子もまた避暑地で、何者かに鋏で首を刺されて殺されたのだと言う。なぜ万由子は、自分が生まれる前に死んだ倫子の記憶を持つのか。真相を追い始めた矢先、放火、脅迫、襲撃と奇妙な事件が続発した。大型女流新人が贈る新感覚サスペンス・ミステリー傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Eiko
7
なかなか、どうして・・・。この読後感はなんだろう。「光の帝国」までの道程は長い。けれども片鱗は確かにある。そんな感じかな。面白くなかったわけではない。のめり込むほどではないけれど、どうでもいいやと読み進めるのでもない。今日の月の出は妖しかったなぁ・・・。2016/10/18
海月
7
作者によると「基本的な本格物」を書こうと思ったらしいですが、ファンタジーやホラーの要素もあり、いかにも作者らしい作品に仕上がっていると思います。珍しく(?)伏線なども回収されているし、比較的スッキリとした感じではないでしょうか。 2013/04/17
チガ
4
ミステリー?ホラー?最後の真相は自分の想像と違って、気になってどんどん進んでいきました。全体的に暗い雰囲気が漂う話でした。2011/09/18
不純文學交遊録
3
自分は25年前に変死した伝説の美人画家の生まれ変わりなのか…前世の記憶という超常的な出来事が、現実的な事件として解明される。幻想+推理、その見事なトリックを思い出したくなって再読した。『六番目の小夜子』そして『球形の季節』と幻想的な学園小説の書き手としてデビューした恩田陸が、初めて手掛けたミステリ作品である。2018/06/24
書庫の番人
3
最初はつまらない設定だなって思ったけど、読んでいくうちに引き込まれてしまった。万由子の生まれ変わりを信じてしまったし、犯人が予想外(*_*)まだまだ自分で推理するのは未熟者のようです(笑)2012/05/13