出版社内容情報
倉山 満[クラヤマ ミツル]
著・文・その他
内容説明
皇極・持統の古代から江戸後期の光格上皇まで、天皇の多くは上皇になった。実は、天皇家の長い歴史から見て、明治・大正・昭和という「死後退位」の三代こそ異例なのである。上皇の存在を長く知らなかった国民は、二〇〇年ぶりの「生前退位」を前にして、「天皇より上皇のほうが偉くなってしまわないか」と心配している。しかし、ひとたび歴史に目をやると、院政を布いた上皇はほんの一部だった。江戸の頃には上皇の存在価値は高まって、良い先例も現われている。上皇のあり方を含む天皇制の議論は、目先の事象にとらわれず、広く歴史に目を向けて行なうべきものだろう。
目次
序章 新帝践祚を前に
第1章 光格上皇の先例から学ぶ
第2章 古代の上皇と先例
第3章 名君の死と摂関政治
第4章 院政―「治天の君」の権力と陰謀
第5章 武家政権と両統迭立
第6章 上皇不在は、乱世の証
第7章 皇統を守るということ
著者等紹介
倉山満[クラヤマミツル]
1973年、香川県生まれ。憲政史研究者。中央大学文学部史学科卒、同大学院博士前期課程修了。「嘘だらけの近現代史」シリーズ(扶桑社新書)は、アメリカ、中国、韓国、ロシア、イギリス、、フランス、ドイツと続き、いずれもベストセラーになっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
13
上皇の歴史をだいぶ恣意的な観点から追った本。著者は先例第一、先例にない新儀を導入することは皇室にとって不吉だから避けるべきとの意見なのだが、そもそもこの本自体が先例が必要とされた経緯を説明していく造りなので、不吉もなにもなあ…。継体帝の例を取ればどうとでもなるし、先例なんか上書保存で恣意的に変えられるもんだしなあという感想しか思い浮かばないのであった。聖武帝の立后に皇族ではない民間人()である藤原氏の出の光明子がたったのも新儀で不吉なことという主張の後に美智子妃を持ってくるのはどうなの。2018/10/28
軍縮地球市民shinshin
11
今上陛下の譲位により、200年ぶりに復活する上皇についての通史。巻末に上皇一覧表が載っていて参考になる。上皇はすべて院政を行えるわけではない。皇室の家長ともいうべき、「治天の君」にならなければ、主導権を発揮することはできない。現に上皇が複数人いた時もあるし、後醍醐天皇のように上皇から治天の君を奪って、自身が家長になった事例もある。近代以降は治天の君はなくなっているので、今上陛下が「院政」をすることはない。テレビで院政とか言っていたけど、コメンテーターは知識がなさすぎ。2018/09/08
犬養三千代
9
2018年8月10日 倉山 満 祥伝社新書 920円 きちんとこの1600年余の天皇の譲位について書かれている。全てではないだろうが譲位が当たり前の姿ではと思わせる。踐そと即位の、違いもよく分かった。 今の、歴史学者じいさんばあさんのマルクスぶりにもチクッと批判。 またこの著者の書籍読んでみたい2018/12/07
ミナ
9
日本は古い記録も残っている国。だからこそ、皇室の辿ってきた道も研究者はもちろん調べたらわかるのに、何で新儀をするんだろう。「上皇后」なんて呼び方作ってどうするのなど納得いかない。また、譲位なんて学校の授業受けていたら当たり前のようにあったことはわかるのに、特別のことのよう。本当にわかってやっているのかな?古代史のところは、自分が卒論書いたところと被っていて、通説をなぞっているだけだったなぁと反省する内容がごろごろあった。皇室が今後も連綿と受け継がれるよう先例に従って儀式を行って頂きたいものだ。2018/08/15
phmchb
7
上皇とは?院政とは?先例を重んじる皇室の歩みを上皇というキーワードで振り替える。新儀は不吉だ!ただそれを分からない(分かりたくない)「有識者」を切る。2018/08/24