内容説明
アルコール依存症や薬物依存症など、「依存症」という言葉を聞くことは、珍しいことではなくなった。ギャンブルやゲーム、セックスなどの行為についても、度が過ぎて実生活に影響を与えれば、依存症と判断される。著者は精神科医として、依存症は病であり、適切な治療と予防が必要不可欠であると主張する。しかし、メディアなどは、依存症になる人は「意志の弱いダメな人間だ」という誤解を垂れ流し続けるだけである。しかも、現在の日本は「依存症患者」を増やし、そこから利益を巻き上げることで成り立っているのだ。「依存症に依存する」社会の実態を暴き、警鐘を鳴らす!
目次
第1章 人生を壊す依存症の恐怖
第2章 あなたも「依存症」かもしれない
第3章 誤解を広めるマスメディアの大罪
第4章 「依存症に依存する」社会・ニッポン
第5章 依存症治療の大原則
第6章 「依存症」社会から脱するために
著者等紹介
和田秀樹[ワダヒデキ]
1960年大阪府生まれ、精神科医。東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。老年精神医学、精神分析学、集団精神療法学を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
71
アルコール、タバコ、覚醒剤、パチンコやネットゲームなど今日本では様々な依存症が蔓延している。どこからが依存症の境界なのか、依存症に依存する社会、依存症の治療と予防について浅く書かれていた。本書で触れていたフリーアクセスという言葉が気になった。マスメディアや身近な場所などいつでも誰もが依存の対象となることに簡単にアクセスできることだ。依存症は「病気」ということからすれば病気をより深刻にしているのが今のニッポン社会だ。そこに「カジノ」が参入するとどうなるのか・・・・図書館本2017/05/23
カッパ
21
意志の問題ではない。意志が壊れてしまう病気なのである。原因はともかく、他人に素直に依存できない孤独な人が多い。脳のプログラムも書きかわっているのいう。依存しやすいものを減し、予備軍を減らすことが急務だとおもう。依存の本質が時間浪費だとしたら日本の未来も暗いのだから。2018/07/10
うろん
8
自分も買い物依存症の気がある。意志が弱いとかではなく、依存症は病気だときちんと認識して治すことが大切。2018/09/24
Keiko
5
ギャンブル、ドラッグ、アルコール依存性やうつ病などは本人の意志が弱いわけではなく、病気という認識が低い日本。事件が起きても起きたことしか報道されず、その根本原因に目が向けられることはない。利権が絡み過ぎる日本。他国では、依存症になる広告宣伝は流さないとは知らなかった。確かに夜にお酒を買いにいくと、お酒コーナーに鍵が掛けられていることがあった!海外のようにカウンセリングや心療内科に行くことがもっと普通になればいいのにと思います。田舎ほど、人目や一家の恥扱いとなり、軽症の時点で手を差しのべられず手遅れになる。2022/07/13
権現
3
現代社会に数多ある依存症の症例をピックアップしながら、その原因となる存在に簡単にアクセスできる日本社会に警鐘を鳴らす一冊。国力が減衰しうるこれからの日本において、依存症の人々を減らす取り組みが生産性の観点から重要になるという主張には同意。ただ、依存症ありきで全ての話が進行するため、少々強引な主張が多いのが気になる。酒、タバコ、薬物、パチンコ、ネットあたりを槍玉に挙げているが、それらの依存症の恐怖を煽る一方で、現実的な対策を示す内容には乏しく、政策による規制やIT環境の制限など、茫漠とした感は否めない。2015/01/19