祥伝社新書
新型出生前診断と「命の選択」

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784396113247
  • NDC分類 495.5
  • Cコード C0247

内容説明

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」が、二〇一三年四月から日本でも始まった。また、遺伝子を調べることによって、将来発症しやすい病気や確率も判明するようになっている。このような医療技術の進歩は基本的には望ましい。だが、最新技術が命に関わる領域に踏み込んだことで、患者と家族は大きな選択を迫られるようになった。その結果、自らの判断が正しかったのか悩む人が増えている。それに対して私たちはどう考えればいいのだろうか。医学の進歩に、心のケアや倫理は取り残されていないだろうか。現状と課題を、精神科医の立場から考える。

目次

第1章 「命の選択」を委ねられる時代
第2章 新型出生前診断と「心」の問題―後悔しない選択は可能か
第3章 遺伝子検査と「不安」の問題―もし「六〇%の確率でがんになる」と知らされたら
第4章 医療技術の進歩にとって「倫理」とは何か
第5章 「命の選択」に答えはあるか
終章 医療が目指すユートピアの陰で

著者等紹介

香山リカ[カヤマリカ]
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授。学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、各メディアで社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍し、現代人の“心の病”について洞察を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しげ

9
人生には、自分で決められることと決められないことがあって、その「決められないこと」を「運命」とでも呼ぶのかもしれません。その「運命」をねじ曲げることが出来たとしても「これでよかったのだ」と言い切れる強い意思がなければ、迷いや後悔の濁流に飲み込まれてしまうでしょう。それよりも「運命」 を受け入れたうえで、そこからどう生きていくかを考える方が、いまのわたしには合っているのではないかと考えました。すべて自分の責任にするよりは、どこかの神さまの責任にしてしまった方が楽になるような気がして。2013/09/02

majiro

4
決定に先立って、いろいろなことを、客観的に整理し勘案するということが大事だと思った。2013/07/27

シロクマとーちゃん

2
世間的合意を得るのは難しい問題ではあるけれど、出生前診断がない方が人は幸せでいられたと思う。しかし、もはや、遅いか! 本書は出生前診断をやるべきかやらざるべきかを論じているというより、これからは誰でもやろうと思えばやれる時代になり、その結果、自分の子の「命の選択」をせざるを得ない状況になることを警告している。普通の親にとってその「選択」は重い。にもかかわらず早急な判断を強いることの非人間性を訴えているのだ。2015/10/08

Humbaba

2
選択肢が増えることは、必ずしも幸せにはつながらない。どのような選択をしても、後で別の選択をしていれば、と後悔することは避けられない。特に、絶対の正解がなく、どちらも正解でありどちらも不正解であるかのような選択肢では、選ばなかったほうが魅力的に見える日がかならず来る。2013/11/17

k

2
我が子を中絶するか、否か。そんな重大な選択する羽目になるとは思わず、妊婦検診の流れで出生前診断を受ける人がほとんどのはず。香山リカは触れなかったが、検診でお決まりのエコーだって、立派な出生前診断だ(エコー検査が安くなったおかげで、途上国では毎年大量の女の子が中絶されている)。親に選択するつもりがなく、無自覚だったとしても、現代の出産は、望むべき子どもかどうかの「命の選択」を経ているということが、もっと知られるべきだと思う。2013/07/26

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