内容説明
日本人の多くは、聖徳太子のことを、非戦主義者と誤解しているようだ。だが、史書に描かれた彼は、疑うことなく「剛毅果断の武人」である。有名な「和をもって、貴しとなす」も、「大いに議論をつくせ」の意味にほかならないのだ。そして、対話では埒があかない輩と出くわすと、太子は力を示すことを厭わなかった。当時対立していた隣国・新羅を牽制するために、九州北部に大軍を集中させたことがある。その結果、みごとに新羅の軟化を引き出した。一方、現代日本の官僚たちはといえば、中国・韓国に遠慮して直言できず、北朝鮮の罵詈雑言を真に受けないのが大人の態度と決め込んできた。こうした気概のない外交態度はいますぐ改めるべきではないか。太子の事績から、学ぶ点は多い。
目次
序章 聖徳太子―誤解されてきた「和の人」のイメージ(剛毅果断の武人だった;その複雑な家庭環境 ほか)
第1章 骨太の提言「十七条憲法」(奇麗事ではない、真の教訓;第一条:大いに議論すること ほか)
第2章 聖徳太子は、対・朝鮮半島政策では、どう振る舞ったか(対外交渉とは、どういうものか;北朝鮮に金を払いたくて仕方がないという勢力 ほか)
第3章 中国と、どう付き合うか?(慕夏―中国文明への憧れ;百済や新羅への主権を求めた倭国王 ほか)
第4章 我々は、太子から何を学ぶべきか?(日本を敵視する隣国;北朝鮮が開発する核兵器は、どのようなものか ほか)
著者等紹介
豊田有恒[トヨタアリツネ]
1938年、群馬県生まれ。若くしてSF小説界にデビュー。手塚治虫氏に招かれ、虫プロダクションでシナリオを執筆。歴史小説や社会評論など幅広い分野で執筆活動を続ける一方、古代日本史を東アジア史の流れのなかに位置づける運動を各方面で展開する。島根県立大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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