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祥伝社新書
志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語

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  • サイズ 新書判/ページ数 228p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784396110376
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

内容説明

志賀直哉は「小説の神様」と云われ、その文章は紙面から活字が立ち上がってくると云う。ところが直哉の文章の一体どこが名文なのか、直かにあたってみると、一見すらすらと読めてしまうだけに、かえって分析するのが難しい。三〇年間、志賀直哉、森鴎外、井伏鱒二などの全集を読破して「名文」を採集しつづけ、『日本語大シソーラス』を編纂した著者が、独自の視点から直哉の名文を分類、分析した画期的な書。英語では決して表現できないすっきりとした美しさ、翻訳不可能と云われる融通無碍な接続の技法、句読点の打ち方ひとつにまで施された並々ならぬ推敲…。直哉の名文を通して、日本語独自の自由、美しさを明らかにする。

目次

序章 本書『志賀直哉はなぜ名文か』が出来上がるまで
1章 「心の動き」を生き生きと表現する直哉の技法―「空間の動き」に擬えることで生まれる躍如とした描写
2章 畳み込む・畳込―複雑な文章をすらすらと違和感なく読ませる
3章 志賀直哉の推敲・省略法―一字一点を忽にしない直哉の筆致
4章 日本語の融通無碍な「接続」―英語でいう「関係代名詞」がなくても、文章は正確につながる
5章 リズミカルな文章―リズムが弱いものは、本当のものでない
6章 「白い花咲く」と「白く花咲く」―形容詞の連体形と連用形を意識して使い分ける
7章 字眼―一字の巧拙がその文章の死活をきめる
8章 ディテールは作品のお臍―美辞麗句を百万遍くりかえすより効果がある
終章 私の志賀直哉

著者等紹介

山口翼[ヤマグチタスク]
1943年、千葉県生まれ。スタンフォード大学、慶應義塾大学卒業。大学では統計・計量経済を学ぶが、小説家を志し大学院を中退、1970年、渡仏する。まずは語彙を増やそうと自分用の「類語辞典」の編纂を思い立ち、広辞苑などの辞書から言葉を収集、志賀直哉、森鴎外などの全集を読破して名文を採集する。1991年帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

トゥクトゥク

16
文学を読む人はまわりに数える程もいないが、志賀直哉読みとなると尚いない。読んでも教科書の「城の崎にて」くらい。名文家と言われることは多いのに、不思議に好きな人は少ない。ぼくは好きだけどなあ。この本は出た時に買って、何度も捲ってボロ雑巾のようになった紙面を、ときどき二、三文眺めては満足して本棚へ返すそんな付き合いをしてきたが、気が向いた時にもう一度ゆっくり読み直したいと考えていて、それを今日実行した。読むと、日本語の文章が書きたくなる。英語を少し知っているより、こんな日本語を書けるほうがカッコいいと思う本。2014/06/11

pollack

11
志賀直哉は名文であるとよく言われます。芥川はその上手さに惹かれて師匠の漱石に相談したエピソードも有名です。僕自身が直哉の作品に触れて、確かにすっきりとした文体で不思議とすらすら読めることは感じましたが、他の作家と比べて正直際立った特色を掴むことはできませんでした。本書は直哉の名文の秘密を様々な視点で詳らかにしています。なるほど小説とはいろんな技巧や仕掛けが織り成されているのだなと、それが高度になると自然で簡単そうに見えてしまうものだなと、当たり前のことですが、再認識させられました。2016/10/06

ともすけ

9
日本語版シソーラスをつくっている作者の本。志賀直哉の文章が名文かどうかはともかく、まあ名文だとしてそれを一文まで分解してとことんまで分析した本。この時点で志賀の文体の名文であるところの幾つかの要素がなくなってしまっているのではないかという疑問は抱かずにいられない。主語や述語、句読点の位置で名文かどうかを判断することが正しいかどうかは僕にはわからない。ただ、文語と口語の淡いの位置に志賀の文章がいる、そんな気がする。だから志賀の文章はいつか名文ではなくなるかもと思う。僕はもうちょっとごつごつした文が好きだ。2016/09/21

lupin14

3
=| 筆者が感じた志賀直哉の美しい日本語を解説。文中の漱石が語った「書こうと思わずに、思うまま書くからだろう」という一言がすべてのような気がする2009/06/12

n_kurita

2
参考になる箇所もあるが、しかし解説されている一文などは前後の文脈あってこその名文であり、素人が手を出せるものではないなー、というこもがわかった。「テンポを付ける」ってところは取り入れることができそうかなと思った。2018/01/03

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