内容説明
日本の人たちにも「懐かしい」の後にプラスαの何かを感じてもらいたい。もし、みなさんが住んでいる街に言葉の通じない外国人が押し寄せてきて、一等地に見慣れない家を次々に建て始めたら、どう感じるか。ほんの少し想像力を働かせてほしいのだ。日本人は、植民地支配について「あまりにも無自覚な人」と「やたらと反省する人」の二極化が激しいのではないか。いずれのタイプと話をしても、ぎくしゃくしたものを感じてしまう。韓国人と日本人は、本当はもっと肩の力を抜いて話し合えるはずである。気鋭のジャーナリストが祖国を歩いて見つめ直した、新しい視点による日韓歴史文化論。
目次
1章 江景、群山、栄山浦、木浦(江景―朝鮮の三大市場、二大港町のひとつだった町は今;群山―しっとりとした街並みと生々しい収奪の傷跡;栄山浦―蛮行と栄華の夢のあと;木浦―日本の影を色濃く留める生きた博物館)
2章 釜山、鎮海、大邱(釜山―富豪と脂粉と避難民…。多くのドラマを生んだ日韓の玄関口;鎮海―日本人に見せたいような、見せたくないような桜と軍艦;大邱―植民地時代の残滓が澱む内陸都市)
3章 仁川、ソウル(仁川―列強によるカルチャーショックを全身で受け止め続けた街;ソウル―大京城の繁栄と終焉)
著者等紹介
鄭銀淑[チョンウンスク]
1967年生まれ。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在、ソウルで執筆・翻訳・取材コーディネートを行う
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
9
今度の旅で到着する仁川国際空港。そこからソウルへ向かうには便利な地下鉄でなく、あえて離れた鉄道駅の仁川駅から向かおう。京仁線は韓国発の鉄道路線でその路線脇の風景は日本統治時代へ遡ることも出来たりするかもしれない。到着するソウル駅、繁華街の明洞、仁寺洞がなんだか落ち着く気分になるのはかつて日本人が開発した場所だからー。単なる海外旅行ではなく、歴史の旅に向き合える助けになる一冊でした。2017/02/26
lovekorea
2
韓国に今なお残る『日本家屋』を通じて、両国の(やや残念な)繋がりを振り返る本でした。 日韓併合時、日本は朝鮮半島に多大な資本を投入した=『良いことをした』的な寝言をこいてる人を見かけますが、あまりに短絡的過ぎて失笑しか出ませんな。 歴史というものはそんな底浅い話では無いのです。2018/12/25
東側ギャン
0
ウリナラ起源と日帝の悪事をアピールしてもじゃあなんで君らはだらしない支配層しかいなかったの?という感想がでる。桜の起源やくだらないの語源が全部韓国~って言ってて虚しくならんのかと2015/01/05
Quijimna
0
韓国に残る「日式住宅」を巡るルポ。★★★☆☆2011/04/28
雲をみるひと
0
韓国主要都市の日本建築を紹介する作品。この作品が書かれた当時、現役の日本家屋もかなりあったようだが、韓国人の作者が交渉した結果、かなりの確率で取材出来ている点は素晴らしい。一方で各都市の地図の記載がないため、土地勘がない人間には作品で取り上げらた建築物への訪問が難しいばかりか、都市の景観をイメージすることも難しいのは残念な点。また、日韓関係からセンシティブな面があるのはわかるが、感情的な表現が若干見受けられる。2018/03/05