内容説明
建築家原広司が、そのライフワークである世界の集落調査をとおして受けた空間デザインに関する教え100フレーズは、『建築文化』1987年4月号を初出とする。本書は、初出から十年余、それら100のキーフレーズそれぞれに熟成された書下ろしの論考および充実した補注を加え、かつ100集落の写真・図版を添えて構成し、決定版としたものである。
目次
あらゆる部分
同じもの
場所
離れて立つ
すべてのものにすべてがある
なんでもある住居
共同幻想
伝統
秩序
矛盾〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
23
気がつけば、集落は、住む人や気候・自然、聖なるもの、高貴なもの、禁忌、地下室、中庭、空中、諸要素を見事に統合した一つの島として、細部=全体としてデザインされている。凄いなぁと思った。2019/03/18
アメヲトコ
12
実家から発掘、1998年刊。72年から97年まで四半世紀にわたる世界各地での集落調査をふまえ、100の集落と「教え」を抽出した一冊。神の託宣のごとき箴言と魅力的な写真に、学生の頃は幻惑されましたが、改めて読み返すと、これはいかにも建築家が書く文章であって、あくまでそのフィルターによって抽出された「教え」であることが分かります。2024/03/11
nbhd
10
《表現されたものは、すべて秩序づけられてしまったものである。この世にはほとんど秩序しかない。すべての集落や建築は、秩序づけられてしまっている》2017/08/26
A
6
本書は集落というテキストのひとつの解釈を試みたもの。世界の様々な集落から100のキーワードを抽出し、そのそれぞれについて短い文章だが濃密な内容の説明がなされており、建築や都市を設計する際に、これらをどう生かすかを色々と考えさせられる。またこれらの教えは建築や都市に対する見方をより豊かにもしてくれるし、それらを解読する際の手がかりにもなり得る。その意味で建築や都市を普段何気なく体験している一般の人にも読んでもらいたい一冊。「つくる」ことだけではなく、「使用し体験する」ことも、ある種の創造的な行為なのだから。2011/08/05
gu
5
注釈が難解でかなり手こずった。小説や映画といった表現物を建築として読んでみる、ということを思った。大江健三郎との関連を初めて知った。2020/04/22