出版社内容情報
読まずに批判、中傷、誹謗されつづけたハイエクの主著。新自由主義の古典。第二次戦時下のイギリスでケインズ政策がナチズム、スターリニズム、社会主義と同様なべてファシズム(全体主義)にいたる道だと喝破し、大論争を巻きおこした問題作。自由を、市場を、擁護するその思想は、時代を超えて読み継がれ、サッチャー、レーガン、そして小泉構造改革にまで影響を与えていると言われています。
新装版にあたって、フリードマンによる序文を付す。
内容説明
資本主義は本当に悪か!?“自由”と“市場”の価値を20世紀の歴史から説きあかす。
目次
見捨てられた道
偉大なユートピア
個人主義と集産主義
計画の「不可避性」
計画化と民主主義
計画化と「法の支配」
経済統制と全体主義
誰が、誰を?
保障と自由
なぜ最悪の者が指導者となるのか
真実の終わり
ナチズムの基礎としての社会主義
われわれの中の全体主義者
物質的条件と道徳的理想
国際秩序の今後の展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
社会主義や共産主義を批判していて将来を見据えていたハイエクの主著です。私は昔から幾度か読んでいますが、これに匹敵する文明論あるいは社会論といっていいのだと思いますが、あまり見当たる気はしません(1944年当時に書かれたことを考えると)。ただ非常に癖のある書き方で嫌いな人も多いと感じています。フリードマンが称賛するのもわかりますがそこまではのめりこめません。ただ最近の文明論を書いたりする人などがあまりにも安易な書き方をしているのを読むとへそ曲がりな私はこのような本を再読したくなるのです。2017/01/09
えちぜんや よーた
56
「自由の下での保障」限定的保障。社会の成員がいかなる場合でも、ある最低限度の生計を行える保障。(イメージ)→日本国憲法25条・生活保護法 「自由を破壊する保障」特定所得の保障。ある特定の生活水準の保障。自分やその属している地位が、他の個人や集団と比べて、相対的に変化しないという保障。(イメージ)→「就活狂想曲」・社畜http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=M6rb6kknj3A#! 2013/03/29
ふみあき
53
ハイエクの著書で、私の知能で太刀打ちできそうなのは(学術書ではなく政治パンフレットらしい)本書くらいか。それでも読了まで、えらく時間がかかった。なんとなく新自由主義の開祖のようなイメージを持っていたが、ハイエクはコレクティビズム(集産主義)を激しく論難する一方、レッセフェール(自由放任)も否定している。そして(個人の尊厳を軽視するような)ナショナリズムにも否定的(ただし国民国家の解体には反対)。また政治によるアカデミズムへの侵略の危険性が指摘されたり、これは現代の文脈に即して言うと、ポリコレ批判と読める。2024/02/14
ころこ
45
「隷属への道」とは、「社会主義こそ自由をもたらす」と標榜していた甘言のことです。現在、脱成長を掲げる社会主義が、当時は社会主義の方が経済成長すると主張されていたことに隔世の感があります。本書で取り上げられている「生活水準平等化計画」がこれにあたります。事実、冷戦当初はアメリカよりもソ連の方が経済成長や宇宙開発で成果を上げていました。社会主義はある到達点に対して批判理論としては有効なものの、何を到達点(目的)とするのかを設計主義的につくろうとするものです。それこそが本書で批判されている人間の想像力を見誤った2021/01/17
くも
21
ハイエクの集大成ともいえる大著。公共事業や支配的な抑圧を受けた市場はどれだけ有害であるか警告する。社会を計画的に設計・制御しようとすると市場から柔軟性が失われる。ケインズ一色だった公共投資一本やりの危うさもわかる。しかし本書は経済指南書を超えて、哲学の域まで高めている。2020/05/22