内容説明
聴き手に思いを伝える、史上最強のコミュニケーションツール。身体技法の“発声法”(朗読)とは。度重なる真剣勝負で磨かれてきた「和」の芸能の秘技を伝授。日本文学で最も朗読に適している漱石をテキストに、そのプレゼンテーション・メソッドを詳説。
目次
第1章 宇宙を創造する語り
第2章 秘伝の朗読「メリハリ読み」
第3章 セリフ読み
第4章 緩急と間
第5章 朗読に色彩を加える音楽
第6章 朗読ライブをするために
付録 実践編―朗読テキスト一覧
著者等紹介
安田登[ヤスダノボル]
能楽師(下掛宝生流)。1956年生まれ。ワキ方能楽師であり、日本ではまだ数少ない米国Rolf Institute公認ロルファーの一人。能、ロルフィング、身体技法、教育など幅広い分野で活動している。最近では、謡・音楽・朗読を融合させた新たな朗読ライブを精力的に展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サルビア
12
「朗読の時にどう読むか、それは相手にどうやって伝えるかではなく、相手がどう「聞きたいか」を意識する様にすることです。今いる語り手の立場から『聴衆の立場』になってみるのです。それをちゃんと意識してください。常に客観的な視点をもつことが重要なのです。」 朗読に必要なキーワード (1) メリハリ読み (2) セリフ読み (3) 緩急と間 今、絵本の読み聞かせ方を習っているところでこの本が大変役に立ちました。特に複数いる登場人物の声の使い分け、セリフの読み方、メリハリ読みは役に立ちました。 2021/07/22
どくばり・あり
0
メリハリと言われて「目張り」を連想するのはわたしだけじゃあるまい。「張り」のある声や肌、「張り切る」とは言うが、メリハリの「メリ」が「滅入り」であって、両者が対をなすとは思い及ばなかった。これで日本語話者といえるのか…。てな反省はともかく、本書は、朗読を実際に人に聞かせるレベルで行うためのテキスト。「ハリ」は〈ちから〉(生命力、魂、霊、血、風)を心身に取りいれて放出し、「メリ」はその〈ちから〉を抜くのでなく上からぐっと抑えるのだという。難しいのはハリよりメリ。稽古を続けたら、目張りは要らなくなるだろう。 2012/06/02