出版社内容情報
チベットの思惟方法の特徴を示し,さらに現代関心が高まりつつある韓国人の思惟方法を著者の体験を通して探る。全体の結論「東洋思想とは?」を付す。
内容説明
いま高い関心を集めるチベットと韓国。仏教受容の形態の考察をとおし、その思惟方法を詳述。全体の結論「東洋思想とは」を収載。新編集による決定版選集。
目次
チベット人の思惟方法―諸文化現象、ことに仏教の受容形態にあらわれた思惟方法の特徴(チベットの宗教と文化の歴史的背景;個人存在の意識―人格的結合の意識の稀薄;人間における絶対者の発見;宗教的霊威ある特定個人に対する絶対的帰投;ラマ崇拝にもとづく社会的秩序に対する絶対的服従;呪術的傾向;論理的性格)
韓国人の思惟方法(朝鮮(韓国)仏教の特徴
現代にいたる思惟の諸特徴)
結論 東洋思想とは(東洋人の思惟方法一般―もろもろの文化現象と東洋人の思惟方法;東洋思想の普遍性と特殊性;思惟方法の差異の認識根拠と実在根拠)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sin'iti Yamaguti
1
1巻のインド人、2巻のシナ人、3巻の日本人とくれば、当然にチベット人と韓国人がくる。ただ、ここではさすがの中村先生も専門外の文献渉猟もあろうが、それほど詳しい論述ではない。ここまできて、そもそも「東洋人の思惟方法」とは何か、が最後に提示されるが、それは当然ながら「単一なる東洋的思惟・文化」は幻想にすぎない、ということである。私たちがともすれば、西洋VS東洋という枠組みで何事かを言いたがる傾向に、これは痛烈な批判である。2023/07/08
鏡裕之
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閉鎖された国ゆえの、日本との共通性。敬語の発達。けれども、霊威に対する信仰が、日本よりも強かった。ロジカルな部分も強かった。街道のルートを外れると即、死が迫った厳しい土地ゆえに、現世の享楽(快楽)を肯定した。それゆえ、現世を超越した世界を志向したインドとは違って、現世の快楽を肯定したチベット的思考が生まれた。2014/02/06
鏡裕之
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『インド人の思惟方法』に比べると、完成度が落ちるね。特に、韓国人の思惟方法については、出来損ないに近い。中村元先生は、サンスクリット語で挨拶できるくらい、サンスクリット語には堪能だったからね。でも、韓国語は完全に専門外だったらしい。中途半端な仕事は、あまり先生にはふさわしくないね。2014/02/03
Kazuyuki Koishikawa
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ダライラマの初来日の頃の話が初々しかった。若かりし頃のダライラマ。2012/04/08