出版社内容情報
田中 浩[タナカ ヒロシ]
著・文・その他
目次
1 ホッブズに先行した時代と思想(近代国家の特色―「一つの権力」「一つの法」;ホッブズ解釈の困難性・複雑性;イギリス伝統の政治思想;一七世紀前半の「憲法闘争」と政治思想)
2 ホッブズの生涯(大学卒業まで;修業時代;亡命時代;帰国から死まで)
3 ホッブズの思想体系(ホッブズ思想の中核―政治思想;ホッブズの「人間論」;ホッブズの「主権論」;ホッブズの「宗教論」;ホッブズ思想の影響力)
著者等紹介
田中浩[タナカヒロシ]
1926(大正15)年、佐賀県に生まれる。東京文理科大学文学部哲学科卒業。東京教育大学教授、静岡大学教授、一橋大学教授、大東文化大学教授、立命館大学客員教授などを経て、聖学院大学大学院客員教授、一橋大学名誉教授。法学博士、専攻は比較政治思想、現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
8
THの伝記情報を求めて手にとったが、オーブリーという弟弟子みたいな人の『名士小伝』くらいしか史料がないらしいから仕方がない。全体のなかに位置づけなければ思想家は理解できないという方針で背景の説明が大半を占めるのは結構なんだが、その「全体」が米英的デモクラシーの勝利(そして日本の新憲法とその守護者たる近代知識人)に至る目的論的歴史だから、ちょっとばかり時代ものだ。だからテクスト解釈も倫理教科書みたいであまり面白くない。輝かしい民主思想家の開祖として丸め込むためにTH思想のもつ棘が抜かれてしまってるみたい。2024/03/31
んぬ
0
ホッブズのことが知りたかったので、本人の自伝にはあまり書かれていないとはいえ、その生涯と著作全体を見渡せたのはよかった。イギリスという国の特殊性も面白い。一方で、繰り返しがあまりにも多いのでうんざりすることがあった。半分くらいの分量で書けた内容では?エピクロスの章立て(認識論や個人の力学から社会を説明する)を元にのちにロックやルソーに引き継がれる近代国家の姿を提示したホッブズはすごい。もっと面白エピソードが欲しかったな。2022/02/11