内容説明
明治・大正期に翻訳家として生まれた言葉「文化」。この一語の歴史をたどることで、日本近代の「かたち」を浮きぼりにする。
目次
「文化国家」の時代
「文明」の由来
大正の「文化」
ドイツ語がらきた「文化」
日本文化論の時代
「文化」概念の広がり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うつぼ
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「文化」という高尚そうな響きの言葉をめぐってを書き綴った本。「文化」という言葉は普段何となしに至る所で多用されているが、実は意味は曖昧で、使い手も聞き手もあまり厳密な意味を意識せずに使っているのではなか。本書はその原因を、「文化」という言葉が複数の外来語の翻訳語であり、翻訳語としての言葉そのものも、中国古典から引いてきたものだからであるとしている。前半部はドイツ語とラテン語フランス語の概念の紹介、漢籍からの由来、後半部は主として最近用いられている「概念」について紹介されている。薄いが読み応えのある一作。2014/08/15