内容説明
本書の目的は、デュレンマット独特の喜劇観と喜劇の構造を明らかにすることにある。そしてその際、デュレンマットの現実認識が、喜劇という文学形式の選択と、そこに盛り込まれる内容の選択の両方に深く関わっていることを示す。また、デュレンマットの戯曲および演劇論の歴史的変遷には重点を置かず、デュレンマットの喜劇の心髄となっている第二期の作品に考察の対象を絞って、最もデュレンマットらしい喜劇の喜劇たる所以を明らかにすることを試みる。
目次
第1部 迷宮のドラマトゥルギー(デュレンマットの現実認識;グロテスクな悲劇としての喜劇;ファナティシズムの否定;ニヒリズムの否定;「勇気ある人間」)
第2部(F・デュレンマットの短篇小説『故障』について;鏡の中のテーセウス;循環する物語としての『混迷の谷』;「イローニッシュな主人公」としてのソクラテス)
著者等紹介
増本浩子[マスモトヒロコ]
1960年生れ。広島大学大学院文学研究科博士課程前期終了。現在、姫路独協大学外国語学部講師(ドイツ文学)
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