内容説明
人類の悲劇を巡る「ダークツーリズム」が世界的に人気だ。どんな地域にも災害、病気、差別、公害といった影の側面があるが、日本では、それらの舞台を気軽に観光することへの抵抗感が強い。しかし、本当の悲劇は、歴史そのものが忘れ去られることだ。経済発展の裏で多数の非公認遊郭が存在した小樽、波照間島から強制移住させられた人々がマラリアで大量死した西表島、地元企業チッソの廃液で発生した水俣病によって死の海を抱える町という偏見に苦しんだ熊本・水俣など、代表的な日本のダークツーリズムポイントを紹介。未知なる旅を始める一冊。
目次
第1章 ダークツーリズムとは何か
第2章 1泊2日で150年を体感する―小樽
第3章 極北の悲劇を追う―オホーツク
第4章 南の島の疫病と搾取―西表島
第5章 水俣病、ハンセン病、そして、炭鉱労働の記憶―熊本
第6章 若者、女性、そして外国人の悲しみを見る―長野
第7章 足尾銅山と渡良瀬川の爪あと―栃木・群馬
第8章 バンダアチェから考える災害復興―インドネシア
第9章 日本型レッドツーリズムの可能性―韓国・ベトナム
第10章 ダークツーリズムのこれから
著者等紹介
井出明[イデアキラ]
観光学者。金沢大学国際基幹教育院准教授。近畿大学助教授、首都大学東京准教授、追手門学院大学教授などを経て現職。1968年長野県生まれ。京都大学経済学部卒、同大学院法学研究科修士課程修了、同大学院情報学研究科博士後期課程指導認定退学。博士(情報学)。社会情報学とダークツーリズムの手法を用いて、東日本大震災後の観光の現状と復興に関する研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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