内容説明
彗星のように登場したオバマが危機に瀕している。“小さな政府”を訴える保守派のティーパーティ運動が広がり、ウォール街占拠デモに象徴されるリベラルの動きも活発化。経済が停滞するなかで、右に、左に先鋭化する草の根運動の根源にあるのは、政治に対する不信感だ。無党派や中流層さえ、“大きな政府”を拒み、生活を助けるはずの医療保険制度に反対する。人種や格差よりも“理念の対立”で分裂が深化する大国の今を、気鋭の学者が論考。
目次
第1章 素顔のティーパーティ運動(トクヴィルとアメリカ例外主義を語る保守;RINOとはなにか?偽保守政治家を批判する ほか)
第2章 移民で変わりゆくアメリカ(オバマ再選陣営本部訪問とスペイン語キャンペーン;オバマが選んだ初のヒスパニック系女性最高裁判事 ほか)
第3章 銃と信仰と選挙のアメリカ(「なぜあなたは、銃をもつのですか?」;ハンティングの伝統と「自由」をめぐる概念 ほか)
第4章 「政治」を商品化するメディア(ブッシュシニアの大統領当選を決めたTV中継インタビュー;FOXニュース立ち上げに協力した元CBS放送幹部 ほか)
第5章 「1つのアメリカ」をめぐる分裂(国王と首相を選挙で選ぶということ;「帰国子女」にして作家の大統領 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OTIUM
4
日本の新聞からしかティーパーティーの知識が無かったのですが、この本でより深くティーパーティーについて知る事ができて良かったです。分裂というか、個々の人が自分の意見を持っていて行動しているのが素晴しいです。取材した人達がそういう人達だったせいかもしれませんが。2012/06/23
Meistersinger
2
分裂(保守とリベラル)というより「最初からバラバラ」だなぁ。ティーパーティーすら財政保守的な点以外まとまりがない(まあ仕方ないけど)。意外と外交政策について対立がない感じなのは、冷戦もなく関心も薄いせいか。メディアの政治を巡る舞台裏は面白い(日本と同じで、仕切ろうとする既成マスコミとそれへの反発)。オバマが持つ複数のアイデンティティというのは、今後のアメリカに必要なものなのだろう。2012/04/13
k_jizo
1
すばらしい本なのだが自分がアメリカに関心がなくなってしまったのを再認識した2012/12/26
旅猫
1
大統領選の年に。ロムニー対オバマ、アメリカがどういう道を選ぶのか、はもちろんどういう過程で選ばれたのかにも注目してみたい。2012/09/02
fritzng4
1
アメリカって、複雑ですね。ティーパーティーにまつわる第一章が最も興味深く、「分裂するアメリカ」をリアルに感じた。その他、メディアによる大統領選候補者誘導、ジョン・エドワーズ元上院議員の話など。2012/06/27