内容説明
量刑とは、裁判官が当事者らの言い分や証拠を、刑法の定める範囲内で酌量し判決を下すことである。その判断は各裁判官に委ねられているものの、先例判例主義が重視されるため、「一人殺しは無期」「三人殺しは死刑」といった刑罰の“相場”が自ずと形作られてきた。例えばゴルフ場からロストボールを“大量”に持ち帰れば懲役１０カ月、“衝動的”な放火で“一人”焼死させたら懲役１０年など、微罪から重罪まで、法の番人たちが共有する刑罰の約束事が全て明らかに。
目次
第１部 日常生活の刑事事件と量刑相場（道路でツバを吐く、幼い子供に小便をさせる―科料；山で焚き火、往来でキャッチボール―科料；太った女性に対して「デブ」と言う―拘留；賭けマージャン―罰金；ゴルフ場からロストボールを持って帰った―懲役・執行猶予 ほか）
第２部 重大事件の量刑相場（殺人事件；傷害致死事件；現住建造物放火事件；強盗致傷、強盗致死事件；婦女暴行致傷、婦女暴行致死事件；その他の事件）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Taka
12
物にお金の相場があるように、罪にも相場が存在する。科料、勾留、罰金、禁錮、懲役、死刑と重くなる。太った女性にデブと言うのは名誉毀損でいきなり勾留。上司の机にゴキブリ、帰ろうとする同僚の引き留めも罪。衝動的に2人殺害するほうが、計画的に2人殺害する連続殺人より罪が軽い。被害者にも落ち度があれば、罪は軽くなる。ナイフで刺してしまった相手が死んでしまったという事象が複数あるがまずなぜナイフを持っている？罪を裁量しようとする努力はされている。ただ社会に戻って来れる罪人の場合復讐防止の為にGPSとかもできないものか2023/10/16
大泉宗一郎
10
バカだなあ、と笑ってしまうような軽犯罪から、あまりの理不尽さに胸を締め付けられるような重罪まで、被告人に下された判決や処分を、掻い摘んで説明してくれる。さらに事件の概要や、裁判所の判断根拠なども交えられていて、自分のようなド素人にも読み易いつくりになっている。報道などで、時折、懲役期間に首を傾げたくなるような判決を見かけるこどがあるが、あれは、先例判例主義による比較の結果が反映されているらしい。全体を見渡さないと、個が見えないということか。色々と勉強になった。 2016/03/24
失速男
3
うーん、相場がこれくらい、情状酌量と、心神耗弱でこれくらいに減らせて、執行猶予もつきそうだ、やっちゃえ！！とはならなかった。法はそれなりに、うまくできている。2017/08/07
ず〜みん
3
例えば光市母子殺害事件では二人殺人と強姦だったから大方無期懲役だろう、といったテレビのコメンテーターの発言があったけれど、判例主義において前例を無視した判決はあり得ない、という点から『前例はどうなっているか』『死刑と無期・有期刑の違い』について弁護士の解説としてわかりやすくまとめられている。2013/03/06
gado
2
なるほどね。日常で気になることが実際裁判として成立する犯罪なんだ…と知る一方で、重大犯罪が、標準的な…と表現されるのに法を知らない自身にとって違和感あったり。2018/03/11
