内容説明
ついに始まる裁判員制度。国民の大半は、できれば選ばれたくないし、自分にはきっと回ってこないと思っているが、一生のうちで裁判員に選ばれる確率は約六五人に一人と案外高い。しかも一般人が死刑判決まで下せる制度は世界中で日本だけ。選ばれて法壇に着けば責任は重大である。本書では、裁判の歴史から、刑事裁判の基本原則、裁判員の役割まで、Xデーを迎える前に知っておくべきことを、法教育のカリスマが熱く分かりやすく解説する。
目次
序章 道具にするかされるかは、あなた次第
第1章 なぜ人間社会には裁判が必要か
第2章 刑事裁判の常識・非常識
第3章 ここが肝心、裁判員制度の論点
第4章 誰が裁判員制度を求めたのか
第5章 すでに激変している日本の裁判
著者等紹介
伊藤真[イトウマコト]
1958年生まれ。東京大学法学部卒業。弁護士。伊藤塾塾長。司法試験、法科大学院、公務員試験、法律資格試験の受験指導を幅広く展開。高度で親身な講義と高い合格率により「カリスマ塾長」として熱烈な支持を集める。「憲法の伝道師」としても精力的に講演・執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラスコリ
2
無罪推定はとても大事なこと。9人の犯罪者を逃がして1人の無罪の人を罰しないことも大事なこと。犯罪者が世間に放たれるリスクよりも、無実の人が捕まる冤罪のリスクの方がよっぽど高い。裁判は無罪の発見に努める場所。それは裁判員も変わらない。裁判員には反対であるが。2014/11/23
アルカリオン
1
’09年 刊。著者自身は裁判員制度の導入は拙速だったと考えているが、正式に始まった以上は裁判員制度の意義・含意を社会の一人一人が認識すべきだという視点で、論理的・啓蒙的に書いている。印象に残った論点は129頁。「裁判に『市民感覚』をとりいれる」というと、「民意を反映する」ことだと考える人が多いが、これは誤解だ。裁判を世論調査的多数決で行うという発想では、かつての民衆裁判のような直感や感情による裁判になってしまう。憲法はそれを避けるために裁判所をあえて「選挙によらない非民主的な機関」として設定している。2018/05/10
健康ちゃん崩壊
1
裁判員制度が開始され国民の意識は変わったのだろうか。それをとりまくメデイアは、政府は。寝たら忘れる本の内容より、忘れてはいけないものがある2013/06/18
ばっしー
1
裁判員制度に否定的な意見を持つ筆者が書いた裁判員入門書。疑わしきは被告人の利益に。マスメディアに踊らされている一般大衆が、果たして本当にそう判断が出来るのかという危惧が伝わってくる。2009/05/21
itchy1976
0
裁判所は「誰が真犯人か」を判断するわけではありません。検察官による起訴事実が間違っていないかどうかをチェックする。つまり、検察官vs裁判所ではなく、検察官vs被告人(弁護士)の中で、第3者として入るのが裁判官(裁判員)である。http://blog.goo.ne.jp/itchy1976/e/d19556930901619a066902b69e7251302009/09/10