内容説明
戦後、大衆からの絶大な人気を誇り、市川宗家の名跡のもとで劇界を背負う宿命を負った立役、十一代目團十郎。妖艶な美貌と才芸を武器に、人間国宝、文化勲章などの権威を次々手にして這い上がった不世出の女形、六代目歌右衛門。立場の異なる二人が一つの頂点を目指したとき、歌舞伎界は未曾有の変革を孕んだ―。華やかな舞台の裏に潜む、人間の野望と嫉妬、冷徹な権謀術数の数々。最大のタブーの封印がいま解かれる。
目次
第1章 海老様ブームと歌右衛門襲名―~一九五一年(市川海老蔵;中村歌右衛門;戦争と平和;歌右衛門襲名)
第2章 始動と雌伏―一九五二年~一九五五年(天覧歌舞伎;大佛次郎と三島由紀夫;歌右衛門の新しい試み;吉衛門一座の亀裂)
第3章 模索と分裂―一九五六年~一九六二年(一九五六、五七年―模索する役者たち;一九五八年―海老蔵のストライキ;一九五七年―嵐の前;一九六〇年―公的栄誉と国際的評価;一九六一年―分裂と決意)
第4章 神の復活と死―一九六二年~一九六五年(一九六二年―襲名;一九六三年―團十郎の迷走;一九六四年―「團十郎問題」;一九六五年―神の死;歌舞伎の変容)
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒。カメラ雑誌編集長等を経て、現在「クラシックジャーナル」編集長。出版社「アルファベータ」代表取締役。海外の出版社と共同・提携し、20世紀に偉大な足跡を残した芸術家や文学者の評伝の翻訳書を出版する傍ら、自らもクラシック関係の著書を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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