内容説明
竹内洋岳は標高8000メートル以上の14座すべての登頂に成功した、日本人初の14サミッター。彼だけがなぜ登り切れたのか、その深層に迫る。「経験は積むものではなく、並べるもの」「人は死なないようにできている」「実際には、日常生活の方が死に近い」「想像力と恐怖心を利用して危険を回避する」―命を賭して登り続けるプロ登山家の「人生哲学」。
目次
天狗岳登山(新宿‐茅野;登山開始;速い者 遅い者;汗;歩く職人 ほか)
竹内洋岳のルール(あの頃は、山で死んでもいいと思っていた。;年齢には意味がない。どんな登山をしてきたかで決まる。;運は存在しないというのが、私の山登りです。;山登りは、嫌ならやらなければいい。;山の魅力を知りたければ登るしかない。 ほか)
著者等紹介
小林紀晴[コバヤシキセイ]
1968年長野県生まれ。写真家、作家。95年「ASIAN JAPANESE」でデビュー。97年「DAYS ASIA」で日本写真協会新人賞、2013年写真展「遠くから来た舟」で林忠彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
128
2016/6/19 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2018/5/15〜5/17 8000m峰14座すべてを日本人として初登頂した竹内洋岳氏をカメラマンである小林紀晴氏が行った天狗岳への山行時に行ったインタビューをまとめた本。以前にも竹内氏の著作などを読んでいたが、一種独特の人である。こういう精神状態を保つことが死と隣接する世界で活躍できる所以なのか、経験するうちに身についたことなのか。共感できない部分もあるが、自分の山行に参考になる箴言をいくつかもらうことができた。2018/05/17
ぷう蔵
28
さすがに8,000m峰14座制覇のプロ登山家竹内氏の言葉、心にぐさりと刺さるものがある。その言葉はあくまで自然体で当たり前な言葉が多い。淡々としているので余計にリアルである。生き続けるためには「逃げろ」。無理に頑張る必要はない。野生動物も危険を察知したら逃げるのだ。生きる上で「運」というものは存在しない。今までの経験や観察、洞察から導き出し、選択した結果なのだ。後から良かった、悪かったと言っても全て過ぎたことなのだ。竹内氏の考え方は実にシンプルで、本能的で、前向きである。だからこそ生き残れてきたのだ。2017/05/24
コロコロ
24
聞き手の小林紀晴さんは、デビュー作「アジアンジャパニーズ」からずっと贔屓にしてた写真家&作家さんだ。日本で唯一、標高8000m以上の14座すべての登頂に成功した竹内洋岳。常に死と隣あわせの厳しい世界を生き抜いてきた彼の人生哲学は奥が深かった。2016/11/08
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
16
新聞で竹内氏の談話を読んでその世界に触れたくなり図書館で借りたものの、あまりに付箋だらけになったので購入。竹内氏により著者がいかに大きく影響されたか、それが浸透していく様に竹内氏の力の凄さを感じさせられた。「竹内さんの言葉の魅力は、山を遠く離れてもそのまま当てはまることではないだろうか」、これに尽きると思った。2024/04/21
活字スキー
16
写真家でアマチュア登山家の著者がプロ登山家にインタヴュウ。自分は山に関しては14サミッターという呼び名すら知らなかったほどの素人だが、地球上に存在する8000m超の山々を全て登頂したと聞いただけでおよそまともな人間ではあるまい(←誉め言葉)と期待して読み進めてみると……期待以上、かのイチローに勝るとも劣らないほどにクールなプロフェッショナリズムに圧倒された。登山は想像力が物を言うスポーツ。審判もルールブックも無い。どんな山であろうと、その山頂がゴールなのではない。その次を、その先を想像し、彼は挑み続ける。2016/07/31