内容説明
誠、正二、香の兄妹は、東京の古いアパートで身を寄せあって暮らしている。父は失踪し、母は寝たきりの状態だ。多額の借金を返し、家族を養うため、兄妹はある犯罪に手を染める。やがて世界の紛争地に生きる少年たちの日々が、兄妹たちの生と響き合う…。愛も夢も奪われた仔らが運命に立ち向かう、究極の希望の物語。第67回毎日出版文化賞受賞作。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年愛媛県生まれ。86年「白の家族」で野性時代新人賞、93年「孤独の歌声」で日本推理サスペンス大賞優秀作、96年「家族狩り」で山本周五郎賞、2000年「永遠の仔」で日本推理作家協会賞を受賞。04年、文庫『家族狩り』五部作を発表。09年「悼む人」で第一四〇回直木三十五賞を受賞。13年『歓喜の仔』で第六七回毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナイスネイチャ
210
読後、気が滅入ります。現実に目を背けることなく、一生懸命生きていく子供たち。最後にかすかな希望の光が見えてほっとしました。この子たちが歓喜に沸くような日々が来る事が願える作品でした。2015/11/30
KAZOO
128
天童さんの本はあまり読んでいないのですが、この本も厚いしかなり重そうな内容なのでどうかと思いましたが、最後まで読ませてくれました。このような3人の兄弟だけで生きていくことが、いかに大変なことだということがわかってくるので、彼らのとった行動に同調するような気持になっていくます。ただ読むのには気力が必要な気がします。2016/04/22
ナミのママ
64
第67回毎日出版文化賞受賞。重くて長く、読後感もなぜかすっきりしない。それなのに読み終えてホッとしています。貧困の中、子供だけで身を寄せ合って暮らす兄妹、たくましいです。生きることに貪欲なのではなく、淡々と目の前をかき分けながら生きている姿、これが人間=動物の姿なのかと思います。自分の身が辛いとき、別のモノに身をおきかえ逃避することはよくあるが、この「リート」の部分だけ、再読してみたいです。ここが一番深かったように感じます。2015/09/04
さおり
61
初、天童荒太さん。わかってて読んだんだけど、それにしても重くて暗くて長かった。すいすいとは読めないし、2/3くらいは、何で読み始めちゃったんだ私、何の苦行だこれは、と後悔しかなかった。けど。最後まで読んで良かったと今は思う。子どもたちの、いや、仔どもたちの?、強さに泣きました。しばらくは軽い作品中心にいきたいけど、しばらくしたらまた、天童さん作品を読むと思う。2017/04/03
りょうこ
53
これの前にキラキラした道尾秀介さんの本を読んだばかりで..キラキラから一気に暗黒の子供時代を送る羽目になった3人兄妹の闇に、文庫でかなり分厚いのに、一気に読んでしまった。そりゃ現実逃避もしたくなるわ。でもこおゆうのも現実あるんだろうね。なんか救済処置できないもんかな?つらくなる。でも読んで良かった1冊でした!2015/09/09