内容説明
大石内蔵助を始めとする四十七士が吉良邸への討ち入りを果たす。その直前、大石の命令で仇討ち強硬派と知られる高田郡兵衛は脱盟を余儀なくされる。美しい妻を娶り、市井での平和な暮らしを始めた郡兵衛。だが待っていたのは、裏切り者の汚名に耐えつつ、己の使命を全うするという過酷な人生だった。美談の陰で生きた男が見たものとは。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ。青山学院大学卒。『高層の死角』(江戸川乱歩賞)、『腐蝕の構造』(日本推理作家協会賞)など、数多くのベストセラー作品を著し、本格推理小説の世界で不動の地位を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Chiii
5
忠臣蔵は有名な話であるのにきちんと読んだことがなくて、なぜか47人の志士たちを中心に描かれていない、少し視点を変えて書かれた話ばかり目にしているように思う。主人公は、物語の中で武士として生きるために死を選ぶか、一人の人間として妻とともに生きていくかの二択に迫られる。今の時代だったら、断然後者を選ぶ人間が多いのだと思う。でも、彼の生きた武士の時代、後者は裏切り者の誹りを受け、誇りを捨てながら生にしがみつくのとほぼ同然の選択。彼の苦しい思いが伝わってくるようだった。ちょっと読みにくい印象だったのが残念。2011/12/26