幻冬舎文庫<br> うつくしい人

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幻冬舎文庫
うつくしい人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 241p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784344417229
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた―。

著者等紹介

西加奈子[ニシカナコ]
1977年テヘラン生まれ。カイロ、大阪で育つ。関西大学法学部卒業後、2004年『あおい』でデビュー。07年『通天閣』で織田作之助賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

555
ある意味「再生の物語」なのだろうと思う。人生にちょっと疲れちゃって立ち止まっている主人公が、離島のリゾートで出逢った人や起こった出来事によって気付きをもらう的な。非常に西加奈子さんらしい作品。30過ぎて親がかりで一泊三万もするリゾートホテルに四泊もできる主人公に、なかなか入り込めず。わたしも何もせずに、日がないちにち海を眺めて暮らしたいよ。2021/08/13

さてさて

310
『私の行動の基本は全て恐怖から来ている』と思い、ギリギリの気持ちの中で生きてきた百合。それは、身近に接してきた姉と対峙する自身の心の整理をする日々でもありました。『美しいとは、なんなのだろう。姉の「美しさ」は、何なのだろう』と考える百合が旅先での出会いをきっかけにその答えを見つける物語。それは『満タンになっている』と感じる百合自身を見つめ直す物語でもありました。百合の張り詰めた心の叫びが読者の感情を激しく揺さぶるこの作品。その叫びは西さんの心の叫びそのものだったのかもしれない、そんな風に感じた作品でした。2021/03/03

NADIA

169
「漁港の肉子ちゃん」と正反対のような重度の不安症を抱えた主人公・百合。ふと思いついて出かけた高級ホテルライフでであった変わり者のホテル従業員とヘンな外国人旅行者。「変な奴」と思いながら、彼らと過ごすことにより心がほぐれていく様にほっとする。この本で言う「うつくしい人」とは外見だけでなく、憧憬の対象となる人のことらしい。ずっと軽蔑していたと思っていたひきこもりの姉が百合にとって「うつくしい人」だったということに気づき、彼女は前に進めるようになるのだろう。自信を喪失している時は気分転換が必要(^^)2017/06/12

新地学@児童書病発動中

164
他人の目を気にして生きている女性が、旅に出て人に触れ合うことによって、自分を取り戻していく物語。重たいテーマを軽快なタッチで読みやすく描いていくところに、作者の物語作家としての力量を感じた。百合のように他人の視線を気にしてしまう日本人は多いと思うが、百合はマティアスと坂崎というマイペースに生きている男性にめぐり会えて幸運だった。性欲がないのに性欲があるふりをするマティアスは個性的な登場人物で、読み手に強烈な印象を与える。引きこもりになってしまった姉と百合との心の葛藤が解決される結末は感動的で、涙が出た。2015/08/16

yu

159
今までの西さんの作品と違うなと感じた。 あとがきを読んでなるほど。しんどい時に書いた作品とのこと。 周りの目を気にして、自分を抑えてひたすら生きてきた主人公。美人だけれど、大切に育てられ、ついには引きこもりになった姉を、見下している。 とあることから仕事を辞め、一人旅にきた島で、不思議な魅力を持つバーテンダー坂崎と、旅行客の外国人マティアスに出会う。二人との出会いが、疲れた心を少しずつ回復させていく。「誰か」が生きていることで「誰か」が生かされる。人と人との繋がりがあって生きることを実感させられる一冊。2015/10/11

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