内容説明
連続殺人を中国政府による“反政府主義者の処刑”と考えた警察上層部に翻弄される佐江たち。一方中国は、共産党の大物を日本に派遣し、事件の収束を図ろうとする。刑事、公安、そして中国当局。それぞれの威信と国益をかけた戦いは、日中黒社会をも巻き込んだ大抗争へと発展する…。かつてないスピードで疾走するエンターテインメントの極致。
著者等紹介
大沢在昌[オオサワアリマサ]
1956年愛知県生まれ。91年に「新宿鮫」で第一二回吉川英治文学新人賞、第四四回日本推理作家協会賞長篇部門を、94年に「新宿鮫無間人形」で第一一〇回直木賞を、2004年に「パンドラ・アイランド」で第一七回柴田錬三郎賞を、10年に第一四回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
320
中国名を何度も確認しながらで時間がかかった。毛を主人公に据えて、もっと出番を増やしても良かった。その方がシリーズ他作との整合性もとれる。あえてそうしないのは、やはり主役は日本人で…という思いゆえか。複雑なプロットも上手に盛り上げて回収し、今まで以上に陰謀渦巻くスケールの大きな話になっているが、こういう時、著者の癖というか、死んだと思っていたら実は生きていましたパターンが結構ある。大沢在昌か男塾かというレベル。やり過ぎると読み手も興ざめする手法なので、連続でその手の作品に当たった人は楽しめないかもしれない。2019/12/21
KAZOO
84
シリーズ3作目は、あるちょっとした手違いから新宿警察の刑事佐江のところにコンビとなる謎の中国人が主人公のような感じです。そこに中国の諜報機関やコンビとなった中国人の過去につながる人物などが出てきます。また日本の諜報機関の公安の刑事が行方不明となり事件がかなり大きくなります。再度この中国人を登場させてくれないですかね。2021/12/13
エピファネイア
78
上下巻で1000頁超の大作。狩人シリーズ3作目。公安警察、中国当局、日中黒社会まで巻き込んだ複雑な殺人事件に佐江が挑む。大沢在昌さんは以前インタビューで最初から筋書きを決めずに書き進めると語っていたが、本書もそうだったのだろうか。だとしたら凄すぎる。本書の読みどころは刑事警察と公安警察の事件に対するスタンスの違い。刑事は犯人特定が最優先だが、公安は国家を守ることが重要でそのためには情報操作も厭わない。被害者や犯人への感情を一切押し殺して国家の情報を守ることを優先する。自分には到底できない仕事だと痛感した。2022/02/13
竹本明
62
うん、やっぱり中国人の名前が難しかった。しかし、内容は非常に面白かった。主人公の「佐江」外務省の「由紀」中国人「毛」とそれぞれに特徴があり、いろいろな人物が絡んでくる。しかしながら話はスムーズで、先へ先へと進んでゆく。読みだすと止まらない。そんな感じであった。納得のいく作品であった。前作の「2シリーズ」も読んでみたい。2020/03/30
GAKU
55
狩人シリーズ第3作下巻、再読。佐江刑事の、中国人“毛”に対する思いの変化が良かった。再読してあらためて、佐江刑事の魅力に気づく。引き続き第4作へ。2021/01/11