内容説明
昭和8年、風雲急を告げる時代の横浜で、19歳の稲川角二は任侠に生きる決意をする。厳しい博徒修業の末、数々の出入りで名をあげた男は、その才覚を買われ35歳で熱海に一家を構える。そこにはモロッコの辰をはじめ、彼の器量と人柄に惚れた若者たちが集っていた…。のちの稲川会総裁・稲川聖城の人生を実名で描いた長編ドキュメンタリー小説。
著者等紹介
大下英治[オオシタエイジ]
1944年広島県生まれ。広島大学文学部卒。大宅マスコミ塾第七期生。週刊文春の特派記者を経て在職中に「小説電通」を発表し作家デビュー。政財官界から経済、芸能、犯罪まで幅広い分野で創作を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
6
暴力団組長の話と書いてしまえばそれまでですが、ワンピースみたいな読み物と言ってしまっても外れちゃいないでしょう。数々の修羅場、鉄火場で男を磨き、男に惚れて人が集まってくる。侠客、博徒がまだ世間に許容されていた現代に繋がっている昔話。戦後日本史がどれだけ闇社会と密接に連動していたか分かる一冊でもある。2011/10/05
うたまる
0
「とてつもなく恐ろしい男だ。が、いままで会ったどの男にもない、いうにいわれぬ男の魅力がある……」……広域指定暴力団稲川会の創設者、稲川聖城の一代記。最後まで勝ち残ったヤクザのサクセスストーリーなので、基本すべてのエピソードが面白い。特に抗争のそれは、我慢我慢のサラリーマン生活を送る読者にとっては胸の空くいい気晴らしとなるだろう。一方、よく分からないのが彼の”魅力”。風格とか人徳とかは当然後付けだろうし、再々の心情の吐露も女々しくかつ言い訳がましく映る。むしろハードボイルド調に仕上げた方が良かったのでは?2022/10/24