内容説明
弱小劇団「下北サンデーズ」の門を叩いた里中ゆいか。壮絶に貧乏で情熱的かつ変態的な世界に圧倒されつつも、次第に女優としての才能を開花させていく。やがて下北サンデーズにも追い風が吹き始め、徐々にその知名度を上げていくが、思わぬトラブルも続発することに。演劇の聖地・下北沢を舞台に夢を懸けて奮闘する男女を描く青春グラフィティ。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年、東京都生まれ。97年「池袋ウエストゲートパーク」で第三六回オール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。2003年「4TEENフォーティーン」で第一二九回直木賞、06年「眠れぬ真珠」で第一三回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユザキ部長
118
何事も仲間がいて相手がいる。好きな時間はあっという間で上手くいく時も体調がすぐれない時だってあるだろう。万事良い方向に進むとは限らない。それでも目の前の事を大切に挑戦しようと思えたからこその物語な気がした。夢なんて他人には計れないから。さぁ下北を探索しよう。2017/09/27
mura_海竜
105
石田さんのまた別の顔を見た思い。芝居・演劇のまち、東京・世田谷区下北沢。結成11年目、小劇団(下北サンディーズ)の上昇・成功小説。好転小説は繰り返しになり単調になりやすいけれど、個性的な役者揃いのせいか、テンポよく物語は進む。ああ、最後はこうなるんだなあ。ステージフライト・「劇団にいい運を連れてくるのは、新人」など専門用語や舞台裏も見れる。図書館リサイクル本2019/06/13
りゅう☆
93
ゆいかは劇団下北サンデーズの舞台に魅せられ入団。3ヶ月の稽古のみでステージでは結構な役を果たし、危機をアドリブで乗り越える。その1ヶ月後にはミニミニ劇団は、4桁の観客を集客できるくらいに成長。ありえなさすぎて笑えるけど、とんとん拍子のサクセスストーリーは石田作品あるある。劇団員の恋愛、他の舞台での活躍、成功の暁に伴う傲慢と解散の危機、一致団結、演劇祭での勝利。あれよあれよという間にゆいかは主演映画デビューの道へ。特に感動も心に突き刺さるのもなく、劇団員のその後の道も合理的。キレイな夢物語すぎて鼻白むかな。2020/10/02
ぶんこ
63
弱小劇団で一生懸命に芝居に打ち込むまでの里中ゆいか。 劇団の世界には疎かったので面白かったです。 芸能プロに加入したあたりから、親にでもなった気持ちでハラハラしました。 まいかさんが欲がないだけに、慣れない芸能界が怖いなと思って、このまま劇団で精進して欲しいと思ったりしました。 八木さんの心境に共感して、好きな劇団で、好きな座長の元で芝居をしていくだけでいいような。 生活に困っていないからなのかな? 2016/02/04
優希
58
弱小劇団・下北サンデーズのサクセスストーリー。読後感は爽快でした。演技のことしか頭にない人たちのエネルギーが気持ちよかったです。大学入学と同時にゆいかが入団してからのステップアップがトントン拍子のような気もしますが、軽いタッチで読めて面白いです。何より何かに打ち込めるっていいなと思わせてくれますね。夢を追いかける下北サンデーズのメンバーに眩しさすら感じます。個性あるメンバーたちの芝居が見たくなりました。演劇は大人の青春ですね。2014/11/24