内容説明
レストラン「虹」。海辺の故郷そっくりの素朴で丈夫な心で瑛子はフロア係に専心していた。だが、母の急死で彼女の心は不調をきたし、思わぬ不幸を招く。踏みつけにされる動植物への愛、身に迫る禁断の想い…。瑛子は複雑な気持を抱え、念願のタヒチに旅立つ。今、美しい島で瑛子に深く豊かな愛が蘇る。確かな希望の訪れを描いた傑作長編。
著者等紹介
吉本ばなな[ヨシモトバナナ]
1964年東京都生まれ。「キッチン」で海燕新人賞を受け、デビュー。「TUGUMI―つぐみ」で山本周五郎賞、「不倫と南米」でドゥマゴ文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
99
歯車が壊れてしまうと、あっという間に転落してしまう。密かなゆがみは、ゆっくりとだが、確実に本来の道とはちがうところへ連れ去ってしまう。タヒチアンレストラン『虹』で働いていた瑛子は、母の死をきっかけに体調を崩してしまう。過労と診断された彼女はオーナーの家で家政婦の仕事をするようになるのだ。犬や猫や庭の世話をすることで、動物や植物たちから力をもらい癒されていく。そして、もうひとつの密かな接点が契機となり、瑛子は新たな選択をすることになるのだ。苦しくつらいときこそ、誰かが側にいるだけで救われるんですよね。2014/06/01
ひろちゃん
80
レストラン「虹」。海辺の故郷そっくりの素朴で丈夫な心で瑛子はフロア係に専念していた。だが、母の急死で彼女の心は不調をきたし、思わぬ不幸を招く。ふみつけにされる動植物への愛、見に迫る禁断の想い。瑛子は複雑な気持ちを抱え、念願のタヒチに旅立つ。★★★★★ この作品読むと、前向きになる。2016/01/24
ヴェネツィア
31
前作ほどではないが、この作品もなかなか本格的な小説。タヒチと東京とがうまくリンクしているといえるだろう。ただ、男が想いを寄せる女に「どうしても一回だけ、どうしても頼む」なんて言うだろうか。少なくても私は絶対に言わない。原マスミの絵は、またしてもちょっとゴーギャン風の味付け。特に女性の脚がそれ風で上手。2012/05/18
kana
15
どんな事情であれ不倫には賛成できないけど、この先二人が幸せであればいいなと思わずにはいられない。世界の旅シリーズはこれで終了。どのお話もその国の雰囲気を捉えていて、自分も旅をした気分に感じられてとても好きでした。そして物語を彩る原マスミさんの絵がとても素敵。2013/10/01
MIH
14
何度も読み返している。人生を間違えそうな時、以下の文中の表現を思い出してしまう。 私は自分の人生を単純にすることに心を随分とくだいてきたのです。 とても好きな本です。 やはり、吉本ばなな時代の方が好きだなあ。何歳になっても、同じ本に何度も元気付けられる。2017/09/23