内容説明
念願の金券ショップを開店した樋口は、大量の高速券を持ち込んだ謎の美女に惹かれ、偽造とわかりながら買い取ってしまう。大企業の計画倒産の裏で暗躍する金の亡者たち。男たちに翻弄されながらもしたたかに生き抜く女。瀬戸際の攻防の先に見えるのは天国か、地獄か。裏金作りに使われる金券ショップの秘密を明かす、かつてない金融サスペンス。
著者等紹介
梁石日[ヤンソギル]
1936年大阪府生まれ。「血と骨」で第一一回山本周五郎賞受賞
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感想・レビュー
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ミカママ
9
サクサク読めたのだけど、なんとなく言い回しが不自然な感じ。35歳男性主人公の人となりがまったく描かれていなくて、キャラにのめりこむことができなかった。謎の美女貴子に至っては、男の勝手な妄想ね~という感じ。2013/02/04
Ikuto Nagura
6
梁石日作品としては、破天荒な人物が出てこないし、虐げられた者の吐く毒も感じられないし、パンチに欠ける気がした。だけど、金券ショップの描写は面白い。“表”だけ見れば、金券ショップなんて、全く儲からなそうだ。けれど現実でも本書のように、偽造金券や盗品の故買、カード枠の現金化などによる足元を見た仕入れだったり、脱税や裏金の捻出のためのルートになっていたりという“裏”の姿があるから、商売として旨味があるのだろう。最近よく見かける“金の高価買取り店”なんかも、何かしらの“裏”の旨味がある商売なんだろうな、きっと。2014/10/30
つけ麺部長
5
金券ショップを舞台にした平凡な日々を綴った小説と思いきや(前半は確かにそのような展開なのですが)、後半からガラリと内容が異なり、最後まで一気に読んでしまいました。驚きました。最後は急にまとめた感じがしますが、娯楽小説としては上出来だと思います。ただ、梁先生の作品としては私小説系の作品の方が良いですねー!2017/10/25
コニタン
5
この本を読み終わって金券ショップを舞台にした小説で面白かったと上司に話したら、その上司がその本を貸してと言われ、貸してしばらく経ったらその上司は、会社を辞めて、金券ショップを始めたので、びっくりしました。2003/02/10
すべから
4
金券にまつわるマネーロンダリングの話は非常に興味深く、テンポの良い話運びも良い。しかし、人間がやたらペラペラで、セリフ回しの語彙が貧弱すぎる。女の色気が万能すぎるのもなんだかなあ。最後に突如挿入された過去の話にもげんなり。そういうことはもう少し早めに言ってもらわないと…。2017/07/22