内容説明
失敗の検証なしに、日本は前進できない!日本人が遅れを取り続ける原因を徹底解明。平成経済史が一気にわかる。
目次
第1章 日本人は、バブル崩壊に気づかなかった
第2章 世界経済に大変化が起きていた
第3章 90年代末の金融大崩壊
第4章 2000年代の偽りの回復で改革が遠のく
第5章 アメリカ住宅バブルとリーマン・ショック
第6章 崩壊した日本の輸出立国モデル
第7章 民主党内閣と東日本大震災
第8章 アベノミクスと異次元金融緩和は何をもたらしたか?
第9章 日本が将来に向かってなすべきこと
著者等紹介
野口悠紀雄[ノグチユキオ]
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaz
37
大学を出て働き出したのが、1990年すなわち平成2年の4月。ということで、本書で述べられていることをリアルタイムで経験してきたわけで、改めて社会人ライフを振り返るにちょうど良い読書であった。何かと言われる我々バブル世代ではあるけど、上の世代ほど頭が堅いわけではないし、下の世代ほど根性なしでもないとは言えるだろう。 上の世代の方へ。「悪いようにはしませんから、我々に主導権を渡して老害にならぬようきれい引退してください。 下の世代の方へ。「悪いようにはしないから、一緒に理想の未来を作っていこう」2019/11/01
HMax
37
平成元年、日本の一人当たりGDPは米国を超え世界第四位、平成30年は第26位。「努力したけども取り残されたのではなく、議論に20年以上を費やしていた。」。GDP、企業売上、平均賃金、等々、どの資料をみても見事に日本は水平飛行。このまま行くと2040年には日本と一人当たりGDPが同じでGDPが10倍の経済大国が隣に出現する。平成の始め頃の英国の一人当たりGDPは日本の半分程度、平成30年には日本を超え、見事に復活した。日本にもまだチャンスはある。平成の失敗を活かして、「日本復活」の令和にしたい。2019/08/15
trazom
34
平成30年間の経済を振り返る野口先生の分析には説得力がある。日本経済は、新興国の工業化とIT革命という世界経済の変化に対応できなかった。「モノを作らないモノづくり」への産業構造の転換と、垂直統合から水平分業への転換が必要だった。一時的な円安に乗って製造業の国内回帰という誤った方向を定着させた。創造性が消えコモディティしか作れなくなった。政府の補助施策に依存するようになった。…全て、納得する。でも、終わってから「平成はなぜ失敗したのか」と、したり顔で見事な指摘をするのが、一流の経済学者の役割なんだろうか。2019/06/11
まゆまゆ
21
平成の時代は一言で言えば、世界経済の大きな変化に対して日本経済が取り残されてしまった時代であると語る内容。新興国の工業化とIT化という変化に気づかずついていけなかったことが現在まで影響している。未だに古いビジネスモデルに固執している多くの企業に資金需要は乏しく、結果日銀の金融政策も効果なし。産業構造の変化を達成できないと日本に未来はない!?2019/04/25
hk
18
「平成を通じ日本政府の円安誘導政策は継続された。なまじ輸出競争力を担保された日本輸出企業は垂直統合型サプライチェーンを温存することが出来ている。それが逆に災いして世界的潮流となっている水平型供給網への移行が日本企業では遅々として進んでいない。こうした構造的欠陥があるため、平成において日本企業は斜陽し続けているのだ」 本書の趣旨はこのようになる。 だがどうだろうか? 著者が世界の抗えぬ潮流としている「水平分業化」には国防上・技術保全上の問題があり、実際それが目下米中貿易戦争という形で表出しているではないか。2019/05/05